「まさか自分が双子を産むなんて、想像すらしていませんでした」
そう語るのは、30代・主婦のサトウさん(仮名)。上の子を出産後、2年ぶりに訪れた産院で告げられたのは、まさに“寝耳に水”の事実でした。サトウさんが体験した、驚きと少しのユーモア、そしてリアルな不安に満ちた双子妊娠判明の瞬間について、詳しくお話を伺いました。
「ええええぇー!?」産院に響いた、まさかの宣告
上の子と同じ産院でのエコー検査。モニターに映し出された映像を見て、サトウさんは「あれ?影が2つある?」と一瞬気づいたと言います。
「でも、2年も経っていたので機械も変わったのかな、通常版と拡大版かな?なんて軽く考えていたんです」
しかし、医師からの説明はサトウさんの予想を裏切るものでした。
「先生は、『これが胎嚢ですね〜…これが胎芽ですね〜…で、この胎芽が2つあるんですね〜…つまり…双子ちゃんですね〜』って、やたらゆっくり、のほほんとした口調で説明してくれて」
丁寧な説明に相槌を打っていたサトウさんでしたが、その意味を理解した瞬間――。
「はい、はい…………ええええぇー!?」
思わず、産院中に響き渡るほどの大きな声で叫んでしまったそうです。「本当に迷惑なくらい(笑)」と、サトウさんは当時を振り返ります。
夫にも母にも繋がらず…最初に報告したのは意外な相手!?
驚きの事実を誰かに伝えたくて、サトウさんはすぐに夫へ電話。しかし、応答なし。次に母親へ電話するも、こちらも繋がらず…。
「もう、誰かに言わずにはいられなくて!」
そこでサトウさんが連絡したのは、なんと普段あまり連絡をとらないお兄さんでした。LINEで「私、双子妊娠した」と送ると、すぐに返信が。
「ちょうど令和元年の出来事だったので、兄からは『おめでとう!名前は令くん(ちゃん?)と和くん(ちゃん?)かな!』って(笑)。予想外の返信に、ちょっと笑ってしまいました」
喜びの裏で…すぐに浮かんだ「どうしよう」という不安
驚きと兄とのやり取りで少し和んだものの、すぐに現実的な不安が押し寄せてきました。
「当時、上の子がまだ手のかかる時期で(2歳差)。実家も近くなかったので、この子のお世話をしながら、どうやって双子の面倒を見たらいいんだろう…って、一気に不安になりました」
見慣れたはずの帰り道が、その日ばかりは全く違う景色に見えたそうです。
頑張りすぎたあの頃の私へ「もっと手を抜いていいんだよ」
現在、上の子は7歳、双子は5歳に。目まぐるしくも愛おしい日々を過ごすサトウさんに、もしあの日の自分に声をかけるとしたら、どんな言葉を贈るか尋ねてみました。
「『もう少し手を抜けばよかったのに!』って言いたいですね、本当に(笑)」
当時の自分は、何もかも完璧にこなそうとしすぎていた、とサトウさんは語ります。
「だから、『毎食ちゃんと作らなくても、おにぎりだけでもいいんだよ』『お風呂だって毎日入らなくても大丈夫』『毎日決まった時間に外に連れて行かなくても、疲れた日は家で一緒にゴロゴロ寝てていいんだよ』って伝えたいです。もっと自分を許してあげて、って」
想像もしていなかった双子の妊娠。驚き、戸惑い、そして大きな不安。それでも、当時の頑張りすぎた自分を優しい眼差しで振り返るサトウさんの言葉には、大変な日々を乗り越えてきたからこその、温かさと強さが感じられました。