2型コラーゲン異常症による先天性脊椎骨端異形成症という、骨の難病と闘うゆいねちゃんの身長は約54cmです。生まれる前に医師から「生まれてすぐに亡くなるかもしれない、覚悟してください」と言われていました。想像していたより元気に生まれてきたというゆいねちゃんですが、その後4年間入院し、命の危機を何度も乗り越えてきました。
現在、小学生となったゆいねちゃんがどのように生活を送っているのか、また家族の支えなどについてお母さんに話を聞きました。
生まれてから4年間の入院
ゆいねちゃんのお母さんは、妊娠後期にお腹の赤ちゃんの骨に異常があることがわかり、医師から「生まれてすぐに亡くなるかもしれない、覚悟してください」と言われます。
そう言われていたものの、出産前に医師から聞かされていた状態よりも元気に生まれてきてくれたゆいねちゃん。
しかし、そこから4年間の入院生活が始まりました。3年間はNICUとGCUで過ごします。たくさん辛いことがあり、もうだめかもと思うこともあったといいますが、何度も命の危険を乗り越えてきました。その後、1年間他の病棟で過ごし、計4年間の入院生活を家族とともに頑張ったのです。

お母さんは、後悔だけはしたくなかったので毎日病院に通ったといいます。急変の連絡があると、外出先からすぐに駆けつけました。また、お姉ちゃんを寝かしつけた後、夜中にも何度も会いに行っていました。
体重のコントロールが必要
ゆいねちゃんは身長が伸びないため、生活する上で体重管理が欠かせません。

肺の発育が不完全である肺低形成のため、体重の増加や少しの体調不良でも、血液中の酸素飽和度(SPO2)が低下して苦しくなってしまいます。そのため、酸素及び呼吸器は未だに手放せません。

そこでお母さんは、ゆいねちゃんが体重増加や体調不良にならないように、可能な限り計算した食事を出しているといいます。しかし「本人は食欲旺盛で…我慢させないといけないのが一番大変で可哀想ですね」と語っていました。
また、毎朝の通学送迎は大変で、最寄りのバスポイントまで15分弱。その間に下のお子さんの幼稚園にも寄る必要があるといいます。
「狭い道があり、事故の危険やバギーだと他の人の邪魔になるので抱っこ紐を使っていますが、腰と肩が悲鳴をあげています。これがあと9年続くと思うと辛いです」と話してくれました。
図工と給食の時間が楽しいゆいねちゃん
小学生であるゆいねちゃんは、学校ではお友達と遊んだり、立つ練習をしたりしています。またできる範囲の勉強をしていて、現在は時計の読み方を頑張っているといいます。
ゆいねちゃんが学校生活で楽しいことは、図工と給食の時間。図工は何かを作ることが好きで、給食で好きなメニューが出るときに「何日も前から報告してきます」とお母さんは語っていました。
なるべく人の手を借りず、自立した大人になってほしい
SNSで発信するようになったきっかけは、ゆいねちゃんのお姉ちゃんが学校のスピーチコンテストで、ゆいねちゃんをテーマにしたことでした。クラス代表に選ばれたことをきっかけに、お姉ちゃんが「もっとたくさんの人に医療ケア児を知ってほしい!」と提案。これがTikTok投稿の始まりでした。
そしてTikTokにアップされている動画は、すべてゆいねちゃんの意志のもと投稿しているといいます。
投稿を始めてから、差別的な意見よりも、何の病気なのか、何の医療ケアを必要としているのか、いい意味で関心を持ってくれる方が多くいることがわかったとお母さんは話します。
また「こんなにたくさんの方に動画を見てもらえると思っていなかったので嬉しかったです」とも。

お母さんには、できるだけ自立し、大人になってほしいという願いがあります。
「そのためにも、自分でやれることは自分でやらせていきます」と力強く語りました。
「お願いごとをされても、それが甘えだと判断した場合は受け入れません。『お母さんに頼らず自分でできないなら諦めなさい、それが嫌ならきちんと頑張りなさい』のスタンスで、病気だからといって甘くするのではなく厳しく見守っていきたいです」と。
そんなゆいねちゃんは、先生になれるように頑張りたいと話しているといいます。
お母さんがSNSを通して伝えたいことは、みんなが言う「普通」じゃなくても、毎日を楽しく過ごしている子がいるということです。また「何よりも、小さいゆいねの可愛さを知ってもらいたいですね」と微笑みながら話してくれました。
生まれてから4年間もずっと病院で過ごすということは、ゆいねちゃんはもちろん、ご家族にとっても想像できないくらい辛いものだったでしょう。それを乗り越えたからこそ、家族一緒に楽しく過ごす時間を大切にしていることが伝わります。
また、日常的に人工呼吸器などの医療ケアが必要な「医療ケア児」がいることを、もっと知っていく必要があるのではないでしょうか。