飼育放棄や多頭飼育の崩壊などで、保護が必要となる猫たち。なかには、命を落としてしまう猫がいるのも事実です。保護猫活動をしている@satomi.iwamonさんが、生死を彷徨った子猫の様子をTikTokに投稿すると「よく頑張った」「その小さな身体で…」「涙が止まらない」などのコメントが寄せられ話題になっています。
保護された天ちゃんについて、@satomi.iwamonさんに話を聞きました。
天ちゃんとの出会い
天ちゃんと出会ったのは、2024年6月21日の朝。市内に住む友人から「子猫を保護した」との連絡が入ったことがきっかけでした。
友人が朝一番で最寄りの動物病院へ連れて行ってくれましたが、その病院では「小さいのでできる検査はほとんどない」とのことで、ノミトリと捕液の処置で終わりました。
この日、@satomi.iwamonさんは仕事だったため、夕方に出発して迎えに行くと伝えていました。しかし、正午頃に見た友人からの動画で、夕方までは待てないと判断。手持ちの持ち運びができる酸素発生器を装備して仕事を早退し、子猫を迎えに行きました。
子猫を受け取ってからは助手席で酸素を吸わせながら@satomi.iwamonさんのかかりつけ医へ直行。向かう道中に、電話で子猫の状況を伝えていたので、病院では緊急受け入れ準備が整っていたといいます。
その後、レントゲンとエコー検査の結果、頭がい骨骨折と判明。そのままICUへ入院となりました。
天ちゃんが保護された場所は、ゴミステーション付近でした。保護場所の環境と子猫の怪我の状況からして「カラスに咥えられて、上空から落とされた」でほぼ間違いないと判断されました。
雨にも濡れて道路に倒れている天ちゃんを道ゆく人が何人も目にしていたそうですが、足を止めて手を差し出してくれる人は居なかったそうです。
外で生まれた子猫たちが生き延びることの難しさ、勇気を出して手を差し伸べれば助けられる命があるということ、誰にも知られず幼くして命を終え、辛い最期を迎える猫たちが全国の至る所にいること…
この事を1人でも多くの方に知ってほしいと思った@satomi.iwamonさんは、天ちゃんの動画を作成することにしました。
入院後の天ちゃん
保護時は500gにも満たなかった天ちゃん。「奇跡的に命あるうちに手を差し伸べて貰えた命。何とかして、助けたい」と、ドクターもできることを可能な限り、やり尽くしてくれたといいます。
最初はご飯を食べれませんでしたが、先生たちのこまめな強制給餌と治療管理のお陰で、天ちゃんはみんなが驚くほどに回復しました。
身体のバランスが取れないなどの状態は改善傾向が見られなかったので、体調をみて頭部と顔の骨折を詳しく調べることにし、7月4日に動物医療センターにてCT検査を受けることに。
CT検査の結果、天ちゃんは左耳の付け根あたりから頬にかけて粉砕骨折しており、三半規管などを含む多くの神経も損傷。外科的処置を施しても修復は不可能と告げられました。また、成長段階で今後は別の後遺症も出る可能性はゼロではなく「恐らく生涯、内耳炎などを防ぐための投薬コントロールが必要と思われる」と告げられたのです。
病院で面会した際、ケージの中で日に日に回復し、人に甘える天ちゃんを見て別れ際にとても寂しそうに見えた@satomi.iwamonさん。子猫らしく、ほかの子たちと過ごさせてやりたいと思い先生に相談すると、自宅でのケアの仕方や注意点を指導もらい、7月9日に退院しました。
現在の天ちゃん
現在の天ちゃんは、歩く際にはまだ少し左に傾きますが、高いところなどにもほかの子同様登りたがります。そのため、天ちゃんが昇り降りしやすいように棚やキャットタワーの配置に気をつけていると教えてくれました。
また、左耳が聞こえないため、呼ぶときは近くで大きな声で呼びかけるように。左目も見えないので、涙が止まらず目ヤニも度々出てしまい、目薬でのケアも必要です。
左右鼻水が止まらず、鼻水が乾くと鼻を塞いでしまうので、朝晩の拭き取りも欠かせません。出ている鼻水の色や状態によっては薬を適所用いて、内耳炎等の予防ケアをしています。
咀嚼は多少食べにくそうにしますが、ご飯は1人で何でも食べられる天ちゃん。ほかの子猫と比べ身体が小さく成長は少し遅めで、動きも通常の猫たちのように俊敏には動けませんが、近い月齢の子とはニャンプロしたりおもちゃで遊んだりと、他の猫ちゃんと変わらないといいます。
「これからも天ちゃんらしく、日々楽しく元気に過ごしてくれたらな」と@satomi.iwamonさんは話していました。
保護や里親募集の活動をはじめたきっかけ
@satomi.iwamonさんは、保護や里親募集の活動を積極的に続けています。
活動を始めたきっかけは、2019年2月9日の深夜に出会ったロードキルの茶白猫「ニック」ちゃんでした。それまでも、@satomi.iwamonさんやお子さんが偶然出会って連れて帰った子猫を、里親募集サイトを使って里親さんを募集する活動をしていましたが、ニックちゃんとの出会いをきっかけに本格的に活動するように。
事故に遭ったニックちゃんは、顔面に大怪我と、太もも粉砕骨折という重症でした。とっさに車のトランクに乗せて保護はしたものの、どうしたら良いのか分からず、地元の保護団体さんに相談をした@satomi.iwamonさん。
そこからは、@satomi.iwamonさんと保護した猫ちゃんに寄り添ってくれた人たちへの感謝の思いで、団体のボランティアメンバーの1人として活動に参加するようになったといいます。
当初お世話になった保護団体は、ブリーダーレスキューをメインとして活動している団体でした。
その後、@satomi.iwamonさんは外の過酷な環境で暮らす猫たちの保護に全力を尽くしたいという思いが強かったため、同じ思いを抱いている仲間とともに自分たちで譲渡会開催など行うようになり、今に至るといいます。
過酷な環境の中で過ごしている猫や事故に遭ってしまった猫など、保護を必要としている猫たちは少なくありません。そのような猫たちを救いたいという思いで活動している@satomi.iwamonさん。
保護される猫たちが少しでも減り、猫たちが穏やかで健やかな毎日を過ごせることを願っています。