みなさんはペットボトルのキャップを何かに活用していますか?おそらく「何気なく捨てている…」という方が多いでしょう。
そのキャップを活用して、アクセサリーを始めとしたさまざまな作品を作っているのは、CAP AKIRA TOKYOさん。捨ててしまったりするペットボトルのキャップが、彼女の手にかかれば素敵な作品に変身するのです。
キャップアーティストとして活躍しているCAP AKIRA TOKYOさんは「アップサイクルの可能性、ものづくりの楽しさを伝えたい」という思いがあります。このように考えたきっかけや、発信をしていくことへの思いなどを聞きました。
※アップサイクル…本来は捨てられるはずの製品に新たな価値を与えて再生することで「創造的再利用」とも呼ばれています。
※リサイクルとアップサイクルの違い…違いは「原料に戻すかどうか」です。 アップサイクルでは製品をそのまま使用しますが、リサイクルは一度原料の状態まですべて戻し、それを原材料として新たな製品を作ることを指します。
クリーン活動でキャップと出会う
CAP AKIRA TOKYOさんとペットボトルキャップとの出会いはクリーン活動からでした。
もともと大学時代に、消費社会について学んでいたCAP AKIRA TOKYOさんは、大量生産大量消費による環境問題に興味を持っていました。その過程でSDGs系の社会人インターンに所属し、クリーン活動を行うことになったのが始まりだといいます。
クリーン活動でキャップを拾ったCAP AKIRA TOKYOさんは、キャップに興味を持ちいろいろと調べ始めました。
そこでキャップが熱で溶けることを知り、同時に海洋プラスチックを活用してアクセサリーを作っている団体もあったため「キャップでもできる!」と考えたのです。
「キャップとしての機能を果たしたら、ゴミになってしまう身近なものが、人の手でクリエイティブに生まれ変わるアップサイクルに魅了されました」
また、こうした作品について「普段何気なく捨てているものが、いろいろな工夫で生活を彩ってくれるものに変わることを知ることで、リサイクルや環境問題に関する活動を積極的に楽しく取り組むようになれば…」という思いも語っていました。
収集してから作品になるまで
ペットボトルキャップは収集してからそのまま使うのではなく、洗浄、カットをします。
「それが本当に大変で、特にカットは力仕事になるため、腱鞘炎になることもしばしば…」
その過程は、まず洗浄したキャップをカットしていきます。
細かくカットしていくため、厚めのキャップは1個カットするだけでひと苦労。
色の配置を考えながら、切ったものを並べます。
シートで挟んだあと、200℃になるアイロンで溶かしていきます。CAP AKIRA TOKYOさんの投稿でおすすめのアイロンについて紹介されています。
シートをはがして、好きな形にカットします。カットをしていくときに出る破片についても「破片が出たら出た分だけ再利用して永遠に何かが作れる、キャップアクセサリーはまさに循環するアクセサリー!」と、CAP AKIRA TOKYOさんはアップサイクルしています。
カットしてピアスが完成しました。マットな感じが素敵で、この色合いはなかなか出せるものではないでしょう。ペットボトルキャップだから出せる色ですね。
これまでに、アクセサリー全般、タイピンやカフス、スマホケース、絵、ブックマーカーなどさまざまな作品を作っています。
ペットボトルキャップに魅了されて3年
CAP AKIRA TOKYOさんが思うペットボトルキャップの魅力について。
「誰にでも手に入る身近なものであること、 色のバリエーションが豊富、何度でも溶かして違うものに生まれ変われること、キャップ以上のゴミが出ないこと(カットして残った破片もまた再利用できる循環性)です」
ペットボトルキャップは、さまざまな色があり、また厚さもそれぞれです。
一番の違いを感じるのは「厚さ」で、それは同じ色のキャップでも若干厚さや薄さが違い、外国と日本のキャップも違うと話します。外国のキャップはどちらかというと簡易的なのだそう。
色は大きく分けると8種類(赤、オレンジ、イエロー、ピンク、青、緑、白、黒)くらいといいます。
これはまだほんの一部で、細かく分けていくと他に数10種類はあるといいます。たとえば、青は青でも薄水色、水色、青、深青、紫青と、結構種類があり、キャップも奥が深いと話してくれました。
より多くの人にアップサイクルの魅力を伝えたい
CAP AKIRA TOKYOさんが、実際に作品を作っている投稿には「やってみたい」「子どもと一緒につくりたい」という声が多く集まっています。
そうした投稿について「大歓迎です。とっても嬉しく思っています。義務感で取り組む環境問題、エコ活動ではなく、楽しく面白く取り組めるこうした活動がもっと広まればと思っているので、1人の『やってみた』から『私もやってみたい』がどんどんインフルエンスしていけばいいな…」と話していました。
「アップサイクルワークショップ」を毎月開催、ワークショップで実際に作品作りを体験した人がまず驚くのは「色の豊富さ」だといいます。
また、溶ける前と溶けた後ではできた作品の印象がまったく変わるため「どんなのができるのかが楽しい」と言われ、さらに「これからドリンクコーナー行くのが楽しくなりそう」という方もいたといいます。
「より多くの方にキャップの魅力、そしてアップサイクルの魅力を知ってもらい、みなさんの生活の視点をちょっとでも楽しくすること」を目標に掲げ「そのためにも、キャップの可能性をこれからも発信していきます」と話すCAP AKIRA TOKYOさん。
あのペットボトルキャップが、ここまで魅力のあるアクセサリーなどに変身するとは考えられなかったことでしょう。
多くの人から「やってみたい」という声が上がっていることから、今後さまざまな人に広がり、アップリサイクルについて考えるいい機会となりそうです。