風呂で抱いた胸への違和感…「ゴムボールのようなしこり」検査すると…判明した乳がん。その後、バリカンで髪をかる姿をSNSでアップした理由

風呂で抱いた胸への違和感…「ゴムボールのようなしこり」検査すると…判明した乳がん。その後、バリカンで髪をかる姿をSNSでアップした理由
バリカンを買ったかおまるこさん(@kaomaruko_diet03さんより提供)

27歳で乳がんと診断された、かおまるこさんは、その治療や日常生活をInstagramで赤裸々に発信しています。
バリカンで髪を刈る姿など、一見ショッキングな内容でも明るく、ユーモアを交えている彼女の前向きな発信は、多くのフォロワーの反響をよんでいます。

今回は、そんな彼女がどのようにして前向きな姿勢を持ち続けているのか、心の内を聞きました。

乳がんが見つかり「ガーン」 明るく振る舞う理由

かおまるこさんが乳房に違和感を覚えたのは、お風呂で体を洗っているときでした。胸にゴムボールのようなしこりを感じ「大したことはないだろうけど、安心したい」と受診を決めました。

しかし、診断結果はまさかの乳がん。
「ガーンって言うなら今しかないと思った(笑)」とそのときの心境を笑い飛ばします。

針生検(針を刺してしこりの組織を取る検査のことで、確定診断になる)の結果を待つ間に病院から急いで来院するよう連絡があり、悪い結果を予感していました。

「がんですと言われたら、絶対にガーンと言おうと決めていた」と振り返ります。
以前から自分自身の間の悪さを自覚していたからこそ、AYA世代(主に、15歳~30歳代)でがんを患うという低い確率を引き当てたことを「自分らしい」と笑いました。

明るく話すかおまるこさんですが、がん告知を受けた直後は自身の死をリアルに感じて沢山泣いてしまいました。
「でも、人生で1回経験できるか出来ないかの珍しい出来事なので(良いか悪いかは別として)ネタにしないと勿体無いな。という開き直りの気持ちに変わりました!」と自身の心境の変化を開示しました。

かおまるこさんは、左乳房の部分切除とリンパ節郭清を終え、現在は放射線療法を控えています。
手術後に体力が低下していく中、彼女を奮い立たせたのはSNSでした。

「温かいコメントやメッセージに何度も励まされ、一緒に頑張る仲間の存在が心強かった」と語ります。

坊主を公開したSNS、前を向けた激励コメント

もともとダイエット情報を発信していたかおまるこさんは、自身のがんが分かってから乳がんについても発信を開始。
「若くしてがんになったからこそ、この経験を最大限活用しよう」と決意したと言います。

しかし、抗がん剤治療が始まると髪が抜け始め、不安が襲います。自身の容姿の変化に心がついて行かず、何度も涙を流しました。
そんな不安を救ったのもSNSでした。

その後、バリカンで自ら髪を刈る姿をInstagramで公開し、多くのコメントが寄せられます。

バリカンを買ったかおまるこさん(@kaomaruko_diet03さんより提供)

「コメントをスクショして元気がでないときに見返しています」と、SNSでの励ましのおかげで、病気でも前を向けているといいます。

人生初バリカン&初坊主(@kaomaruko_diet03さんより提供)

「副作用で髪が抜けても、肌が荒れても全然大丈夫。容姿が変わったとしても、ちゃんと私のままだし、そんなことぐらいで自分の価値は変わらない」

前向きに発信していくことへの思い

かおまるこさんは、SNSでの発信を通じて、病気の早期発見に繋げてもらうことを目標としています。
「その目標を達成するためには、よりたくさんの方に投稿を見ていただいて、病気を自分ごととして捉えてもらう必要があります」

投稿を広く届けるために、ユーモアを交えた発信を心掛けているといいます。
「27歳でがんになってガーン」と書かれているInstagramのプロフィールには「そもそも暗い発信内容だったら、みんな見たくないし、面白くないよな…と考えました」という思いが込められていました。

また闘病中の方に対しても「病気になったとしても、かわいいも楽しいも諦めなくていいということを伝えていきたいので、まずは私が毎日を精一杯楽しくかわいく生きて、その様子を発信していくことが大切だと思っています」と話します。
さまざまな思いがあったなかでポジティブな発信を続けることを選んだかおまるこさんの発信からは、今後の目標にむかって前進していく様子が伝わってきます。

バリカンで坊主になったかおまるこさん(@kaomaruko_diet03さんより提供)

がんと向き合う方へ

かおまるこさんのようにがんが発見された場合、どのように向き合えばいいのでしょうか。
乳がんや子宮がん検診を行う、医師の沢岻美奈子さんに話を伺いました。

当院の婦人科検診で乳がんが見つかり、治療中のお薬の副作用による婦人科的なお困りごとの相談をよく受けますが、周りに隠して闘病している方は色々な不安を一人で抱え込んでいてとてもつらそうです。
かたや、知人の乳がんを知った事をきっかけにして、初めての検診に来られる方も確実に増えています。
2人に1人ががんにかかる今の時代は、闘病後サバイバーとしてどのように心身ともに健康を損なわずにその後の人生を生きていくかが課題ですので、近い距離にいる人にだけでも正直な気持ちを話し、治療のサポーターになってもらうくらいの気持ちでがんと戦ってほしいです。

※この記事は、ほ・とせなNEWSとYahoo!ニュースによる共同連携企画です。

監修者:沢岻 美奈子(沢岻美奈子女性医療クリニック 院長)

日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医。女性ヘルスケア認定医。子宮がんや乳がん検診、骨粗鬆症検診まで女性特有の病気の早期発見のための検診を2013年の開院以来数多く行なっている。
更年期を中心にホルモンや漢方治療も行い女性のヘルスリテラシー向上のために実際の診察室の中での患者さんとのやりとりなどをインスタグラムで毎週配信している。

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