「自分の理想的な死に方をするために、健康には気をつかって過ごしていた。十分な睡眠、適切な食事、適度な運動」「毎年の健康診断は優良」
「自分は大丈夫!」そう思っていた女性をある日突然、激しい頭痛が襲いました。
『くも膜下出血になり、自分で救急車に連絡したお話』と題して自身の体験談を漫画でつづっている新月ゆきさん(@Shingetsu _yuki)の投稿が、X上で話題になっています。
現在は退院し、自宅でSNS漫画を描き発信している新月さんに、くも膜下出血を発症してからの治療中、現在までの話を詳しく聞きました。
突然の頭痛 まさか私が
普段頭痛を感じることはなく、あっても風邪を引いたときくらいだったという新月さん。
くも膜下出血を発症したときは、明らかに異常だと感じる痛みが新月さんを襲い、おう吐も伴ったといいます。
頭痛が発生してから5分後、このとき自宅に1人だった新月さんは、震える手で電話のダイヤルを押して救急車を呼びました。その後、救急車で運ばれMRI検診前に記憶を失いました。
目が覚めたときは病院のベッドの上。手術を終えた後でした。
目覚めたときに激しい痛みはなくなっており、寝過ぎたときに感じる頭痛程度の痛みはありましたが、身体を起こすとその痛みが激しくなります。
漫画の冒頭で語られているように、新月さんは日頃から健康には気をつかっており、毎年の健康診断では、異常がなかったといいます。
そのような経緯もあり、医師から「くも膜下出血です」と告げられたときは「私がくも膜下出血?」と、とても驚いたと話します。
発症から7日後 新月さんを襲う突然の失語症
術後11日〜13日前後は、立ち上がったり歩いたりすると激しい頭痛が続いていました。
くも膜下出血発症から7日ほど経ったころ、看護師さんに点滴の針の痛みをうったえようとした新月さんは突然、言葉を失います。
頭の中で思いつく言葉を、口から発することができない。突然の出来事に驚き、ショックを感じました。しかしそれより、自分の中で何が起こっているのかを把握しようと必死だったといいます。
このときの失語症は、医師の適切な処置で回復しますが、処置後に新月さんは「くも膜下出血が再発する可能性が高いから、もう一度近いうちに手術した方がいい」と告げられます。
医師から話を聞いた新月さんはある決意をして「退院したい」と申し出ます。
生きる準備と死ぬ準備
「くも膜下出血の再発の可能性が高い」と医師に告げられた新月さんは、次の手術までの期間「自宅に帰らせてほしい」と医師、看護師に直談判します。
最初は首を縦に振らなかった主治医も、新月さんの熱意に負け、一時帰宅を許可。
新月さんが自宅に戻ってやりたかったこと、それは金融関連の整理、所有物の整理、親族・友人への連絡などの身辺整理でした。
SNS発信とこれから
現在は、大きな頭痛はなく定期的に経過をみるための通院をしている新月さん。
くも膜下出血を発症した時期は、もともと別のSNS漫画を連載中でした。病気の治療をする間、連載を休止するためにSNSでフォロワーさんに諸事情を説明。退院後はそのまま、くも膜下出血の体験をSNS漫画に描くことにしたといいます。
「漫画をSNSで発信することで、読者の方と繋がることができたことが嬉しい」と、今後もマンガを発信し続けていきたいと話す新月さん。これから先の作品にも注目が集まっています。
手術を終えてからも、新月さんはいろいろな出来事に向き合っています。今後の展開からも目が離せません。
今回お話を聞いた『くも膜下出血になって、自分で救急車に連絡したお話』はkindleで読むことができます。
出典:秋田県立循環器・脳脊髄センター『くも膜下出血(破裂脳動脈瘤)』
出典:日本神経心理学会『失語症とは』
失語:言葉がでてこない,人の話がわからない|神経心理学的な代表的症候|神経心理学への誘い|日本神経心理学会