子育て中に、冷たい言葉をかけられた経験はありますか?優しく子育てを見守ってくれる人は多いですが、なかにはそうでない人がいるのも事実ですよね。
今回紹介するのは「バスの車内で冷たい言葉をかけられたお母さんへの対応」についてのエピソードです。
イラスト:23ca
混雑するバスの車内で
マイ(仮名)さんが駅に向かう路線バスに乗っていたときのことです。途中で双子の男の子とお母さんが乗ってきました。男の子たちは1歳くらいで、ベビーカーに乗っています。
そのバスは車椅子用に座席が上げられるようになっていたため、お母さんは座席を上げてベビーカーをそのまま乗せていました。
しかし、よく渋滞するうえに朝の時間帯のため車内は混んでおり、お母さんは申し訳なさそうに立っています。ベビーカーは、横に2人乗せられる双子用のため、場所を取るサイズ。座席を上げなければほかの乗客が座れるかも…と考えたのでしょう。
そのうちに病院の前の停留所で年配の女性が乗って来ました。女性はベビーカーを見ると「最近のお母さんは気遣ってもらって羨ましいわ。昔は前と後ろに子どもを抱っこしていたもんだよ!」とお母さんに言いました。
お母さんの後ろに立っていたマイさんは「なんと嫌味な…」と思いつつ、お母さんの様子を伺うことに。すると、お母さんは「すみません」と小さい声で言ってベビーカーを畳もうとしていました。
マイさんは、そのお母さんが揺れる車内で歩き始めたばかりの子どもを立たせるか抱っこするかで迷っていたので「気にしないでいいですよ。お母さんもお子さんも転んだら危ないですよ」と声をかけました。しかし、お母さんは「でも混んでますし、迷惑ですよね」と悲しそうな様子。
そこでマイさんは「多分いつもよりたくさんの人が乗れていると思うので問題ないですよ」と伝えてみました。座席を上げている分、スペースが空いて乗れる人数が多いのではないかと思ったからです。
マイさんが「あんまりバスは使わないですか?」と聞くと「いつもは車なんですけど、今日は主人が車を仕事で使うことになって、定期健診があるのでバスに乗ったんです」とお母さんは言いました。
続けてマイさんは「うちなんか子どもが小さいときに免許すら持っていなくて、ベビーカーでバス乗りまくっていたので全然気にしないでいいんですよ!」と伝えたらお母さんはようやく笑顔に。
マイさんは声をかけてみてよかったと思ったのでした。
心無い言葉には耳を貸さずに
このときの出来事について、マイさんに話を聞きました。
ーなぜお母さんに声をかけたのでしょうか?
わたしも子どもが小さいときに公共交通機関を使うと攻撃的な対応をとられることがあったので「お母さん大丈夫かしら」と思って心配になり声をかけました。あとは物理的に混み合ったバスの中で子ども2人を立たせたり抱っこしたりするのは危険なのではないかと思いました。
ーマイさんが取った行動で、そのお母さんはどういった反応をしていましたか?
混み合った車内でしたので、そこまでお話をしたわけではないですが「気にかけてくれてありがとうございます」とは言われました。あまり土地勘もない方のようで、こんなに混んでいるとは思わなかったようです。お子さんは少し泣いてましたが、お母さんが準備してきたおもちゃやマグに入ったジュースのようなもので機嫌を直していました。
ーその後、そのお母さんはどんな様子でしたか?
落ちついた様子で駅までバスに乗っていました。私も駅までだったので降りるときに後ろのドアからベビーカーを下ろすのを手伝ったらお礼を言って去って行かれました。
ーマイさん自身がした行動について、どう思いましたか?
子育てをしたことがある身としては当然のことをした、と思っています。私も心無い言葉に傷ついたとき、見知らぬ方に声をかけていただいた経験が何度もありましたので。
ーこの体験を通して、何か意識していることや気持ちの変化などはありましたか?
改めて「自分以外の人はすべて師」と意識しました。嫌なことを言ったり、やったりする人も「反面教師」です。
ーこの経験を通して、同じような状況で悩む方にどのようなことを伝えたいですか?
現在受けられる支援などは遠慮せずに使ってほしいです。自分のなかの常識、ルールを押しつけてくる方もいますが、バランスをとって自分を労わって、嫌なことはすぐ忘れて!と言いたいです。
周りには心無い言葉をかける人もいるものです。しかし、なかには優しい気持ちで見守ってくれている人がたくさんいるので、あまり気にし過ぎないことも大事なのでしょうね。
※こちらは実際にユーザーから募集したエピソードをもとに記事化しています。
※バス会社のHPにはベビーカーでの乗車方法が掲載されています。 詳しくは各バス会社のHPをご確認ください。