子どもと買い物にいくと「これ買ってー」とおねだりされてしまうときがありますよね。
幼い子どもはなかなか気持ちの切り替えができず、説得に時間がかかったり、いつまでも泣き止まなかったりすることも。
今回はそんな困った状況をあざやかに解決へ導いたお話です。
イラスト:チッチ
約束と引き換えに…
ナツ(仮名)さんが地元のお祭りへ家族と行ったときの出来事です。
ナツさんたち家族は屋台で食べ物を購入し、飲食スペースで食べていました。
すると近くにいた5歳くらいの男の子が、娘が食べていた綿あめを指さしながら「僕もこれ食べたい」と言っている声が聞こえてきました。
側にいたお母さんらしき女性が「今日はもうおしまいだよ」と言ってなだめていたのですが、男の子は納得せず、大泣きしています。
しばらく男の子の様子を見ていた娘が「ママ、少しならあげてもいいよ。泣いていてかわいそう」とナツさんへ向かって言いました。
そこでナツさんが「こんばんは。お兄ちゃんは、これ(綿あめ)が食べたいの?」と聞くと「食べたいけど、ママが買ってくれない」と泣きながら答えてくれました。
「じゃあ、おばちゃんと1つ約束できたら、お姉ちゃんが食べている綿あめを少しあげるよ」とナツさんが言うと「約束って何?」と聞き返してきた男の子。
「それは、ママの言うことをちゃんと聞くこと。そしたら綿あめあげるよ」と言うと「わかった!」と男の子は大きくうなずき泣き止んだのです。
しかし、ここですぐあげてしまうとこの子のためにならないと思ったナツさんは「まずは、ママにわがまましたこと、ごめんなさいできるかな?」と言うと「ママ、さっきはごめんなさい」と素直に謝ることができたうえに、これから言うことを聞くと約束してくれました。
ナツさんの娘さんが綿あめを分けてあげると「おばさん、お姉ちゃんありがとう」とニッコリ。男の子のお母さんは「すみません。今日は私1人で来たので、誰にも頼ることができず困っていました。本当にありがとうございます。今日のことは親子共々忘れません」と目をウルウルさせながら、お礼を言ってくれました。
アメとムチの使い方…
ナツさんにそのときの様子を聞いてみました。
ーその後、その親子はどんな様子でしたか?
ニコニコして、お祭りを楽しんでいる様子でした。
ーその行動を取った理由を教えてください。
私も娘が3人いるのですが、お祭りとなると「あれも欲しい」「これも欲しい」と毎回なります。買ってあげたい気持ちは十分にありますが、何でも買ってしまうのもどうかと思い、買う前に1つ約束をしてから買うようにしています。
また、人前で大泣きされてしまうと、周りの目も気になります。そこで、これまで自分が体験したことをもとに早く子どもを泣き止ませ、子どものためになるようにアメとムチを与えることにしました。
自ら行動で親がお手本に
ーご自身がした行動について、どう思いましたか?
自分が困っているときは助けてもらいたいし、他の人が困っていたら助けたいので、親子に喜んでもらえてよかったと思っています。
ーこの体験を通して、何か意識していることや気持ちの変化などはありましたか?
困っている人がいたら助けようとより一層思いました。
ーこの経験を通して、同じような状況で悩む方にどのようなことを伝えたいですか?
困っているときはお互い様だと思うので、ぜひ声をかけてあげたほうがいいと私は思います。どんな対応でも声をかけられただけで救われることがたくさんあるので、勇気を出して声をかけてあげてください。
みんなで食べる綿あめの味は男の子にとって忘れられない思い出になりましたね。ナツさんの娘さんにとっても、自分の優しさで男の子が笑顔になったことは素敵な経験だったのではないでしょうか。「困っている人がいたら助ける」ということを、身近なお手本として大人たちが示していきたいですね。
※こちらは実際にユーザーから募集したエピソードをもとに記事化しています。