2人目以降の妊娠は、上の子の育児もあって大変なことも多いでしょう。妊娠前にはしてあげられていたことも、妊娠中はできないことがあります。
今回紹介するのは「2人目の妊娠中に助けてもらったこと」についてのエピソードです。
イラスト:チッチ
2人目の妊娠中に…
3歳の息子さんをもつスズ(仮名)さんは、電車が大好きな息子を喜ばせたいという思いから、時々電車に乗ってお出かけを楽しんでいました。
しかし、下の子を妊娠したスズさんは、悪阻がひどくてしばらくお出かけができませんでした。ようやく悪阻が落ち着き、久しぶりに息子さんと電車に乗ることに。スズさんと息子は、いつも通りに先頭車両に乗り、電車を楽しんでいました。
すると、息子が「ママ、抱っこして」と言いました。妊娠前は、線路がよく見えるようにいつも抱き上げていたことがあったのです。
「ママお腹に赤ちゃんがいるから、抱っこはできないんだ。ごめんね」と息子に謝るスズさん。そんなスズさんたちの様子を見ていた女性が、座っていた座席から立ち上がり「お母さん、座らなくて大丈夫?」と声をかけてくれました。
その女性はとても気さくな人で、息子が着ていた電車の柄の服を褒めてくれ、息子さんも大喜び。女性と息子はすっかり打ち解けた様子でした。そして女性は「おばちゃんでよければ、ぼく抱っこしてあげようか?」と申し出てくれたのです。スズさんは女性の申し出に驚きつつも、とても嬉しく感じました。
申し訳なさもあり、どうするべきか迷ったスズさんでしたが、お言葉に甘えることに。女性に抱っこしてもらった息子はとても嬉しそうで、スズさんはそのときの息子の顔が忘れられないそうです。
人の優しさを子どもに伝えたい
このときの出来事について、スズさんに話を聞きました。
ー助けてもらったとき、女性に対してどう思いましたか?また、なんと伝えましたか?
とても嬉しく思いました。息子に周りの人の温かさを教えてくださった、これ以上ない機会だったと思います。コロナ禍というのもあり、正直に申し上げると抱っこには少し抵抗があったのですが、それも忘れてしまうくらいの幸せなひと時でした。相手の女性には「本当にありがとうございます。息子をいつも我慢させていてばかりだったので、抱っこしていただいて助かりました」とお伝えしました。とても子どもの扱いに慣れていらっしゃるご様子だったので、お孫さんがいらっしゃったり、保育関係のお仕事をされたりしている方だったのかな、と思っています。
ー相手の方とはその後何か会話をしましたか?その際、どのような会話をしたのか教えてください。
私は椅子に座らせていただき、駅に着くまで息子と女性は楽しそうに窓の外を眺めていました。「電車すれ違ったね!」「あそこに工事現場があるね」などと、乗り物好きな息子に合わせて話してくださっていました。
ー今回のようなエピソードの状況において、子育てならではの大変さを感じることを教えてください。
妊娠中は上の子に我慢をさせる場面が多く、大変さを感じました。悪阻がひどいときは電車に揺られるのも厳しく、乗るのは諦めて線路沿いから眺めるだけにすることもありました。ほかにも、電車に揺られて眠くなり、帰りにはもう歩けなくなった息子を抱っこをしてあげられなかったこともあります。そのときは泣く泣く息子の腕を引っ張り、行きは歩いてきた道をタクシーで帰ることになり予想外の出費となりました。
ーこの体験を通して、何か意識していることや気持ちの変化などはありましたか?
私も妊娠中のママさんに気付いたときには、優しくありたいと思うようになりました。
ーこの経験を誰かに話したことはありますか?
夫に話しました。夫は「そんないい人がいるんだね!」と感動していました。また、息子に「パパが休みの日に電車に一緒に乗りに行こうね、そうしたらずっと抱っこしてあげられるからね」と言ってくれて嬉しかったです。
ー子どもと一緒にいて困ったとき、周りにどういった対応をしてもらえると嬉しいと思いますか?
具体的に手を差し伸べてくださらなくても、嫌な顔をしないでいてくださるだけで助かります。欲を言えば、騒いでしまったら「元気だね」などと声をかけてくださったりすると救われますが、子どもが苦手な方がいらっしゃるのも重々承知しているので、なるべく自分で解決できたらな、と思っています。
ーこの経験を通して、同じような状況で悩む方にどのようなことを伝えたいですか?
あなたが困っているときに、なんとかしてあげたいと思ってくれる人がいたら、遠慮せずに気持ちよくご好意を受け取ってほしいです。その姿を見て、人と人は助け合って生きていくんだということを、あなたのお子様も学んでいくのではないかと思います。
周りの人の好意を受け取ることで、子どもに人の優しさを教えてあげることもできそうですね。困ったときには助け合える、そんな人と人とのつながりを教えてあげたいですね。
※こちらは実際にユーザーから募集したエピソードをもとに記事化しています。