ドールは“愛”で変わる ちいさな世界に広がる、魅惑のドールワールドへようこそ

ドールは“愛”で変わる ちいさな世界に広がる、魅惑のドールワールドへようこそ
お気に入りのバーで撮影したもの。室内のテーマは遊郭。

カバンから出した人形の髪を丁寧にとかし、手足や首の角度を細かく気遣いながらセッティングして撮影する人たち。今回はニッチなドールの世界をご案内。

漆黒の髪にレッドアイが特徴のドール・黒紅ちゃんのオーナー、まきばさん(X /Instagramのアカウント名:makimakimakiba)に話を聞いた。

きっかけはイラストのポーズの参考に購入したこと

「もともと趣味でイラストを描いていたのですが、ポーズに悩んでいたんです。そこでポーズの参考にするために人形を買ったのがドールとの出会いでした」

目的はイラストを描くためだったが、次第にその魅力に取り憑かれていく。
イラストの参考にするために写真を撮るが、衣装を変えたり角度を変えたりするたびにいろんな表情を見せることがわかり、どんどんドール沼にはまっていったという。
人形の顔は変わらないのに、衣装や背景、メイクによって異なる表情になるのは不思議。

「最初に買った子は腕や足の可動範囲に限界があり、もっと繊細な動きができる人形が欲しくなりました。情報収集はもっぱらツイッター(現在のX)。もっとこんな子がいいな、もっとこうだったらいいな、という欲が出てきて何体も購入して今の黒紅に至りました」

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顔もサイズも質感も、種類によってまったく異なる。
「ドールの素材も顔もいろんなジャンルがあるんですよ。例えばうちの黒紅ちゃんはアニメ系の顔をしていますが、生身の人に近い顔をした人形もあります。また素材もフランス人形のような陶器製のビスクドールや柔らかい質感のキャストやソフトビニールなどさまざま。サイズも40センチ〜60センチと幅広いんですよ」

実際、ドールオーナー仲間を見渡してもサイズはいろいろ。80サイズや90サイズの子ども服が合う大きめのドールもいれば、片手で持てるドールもいる。

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自分の理想を作れるのがドールの魅力

ドールは頭と胴体部分を取り外すことができ、頭部は眼球を変えられるように上部が開くようになっている。これによって、目の色を自在に変えられるのだ。

「ドールの醍醐味は、自分の理想のドールを作れることだと思います。私はドラゴンが好きなのとファンタジー感のある雰囲気が好きなので、ツノや尻尾をつけながら、現実の世界にはいないかわいさをドールに求めてカスタムしています」

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また、衣装はハンドメイド作家にオーダーしたり、撮影に使う小物は自分でも作ったりしているという。まきばさんのドールの黒紅ちゃんはその名のとおり、漆黒と紅色にこだわっているので、衣装や小物も厳選。撮影の際には、世界観を表現するための演出も欠かさない。
「100均のものなどを使って、小物を製作してます。臨場感のある小物を持たせるとリアリティがあって楽しいですね」とまきばさん。撮影当日も自作した人形用のクッキーを仲間にプレゼントしていた。

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日本はもとより世界のドールオーナーと繋がれる

最近はヘッドメイク(ドールの頭部に目を描き表情を作る)にも挑戦。まきばさんが作ったドールヘッドは北海道の人や、海外だと香港の人のもとへ嫁いだ。
まきばさんが自分で作ったものを販売するように、ドール用の衣装や小物、家具などを作って販売している人もいるという。ドールというニッチな世界では、こだわりをもつ人たちの夢を叶えるための商いがあるのだ。

「ときどき、ドールイベントもあるので、仲間と一緒に出掛けていきます。同郷の人だと知るとつい話しかけてしまいますね(笑)」

仲間たちと撮影を楽しむドール撮影会

ドール撮影には背景も重要。家には自作したブースがあるほか、撮影スポットを探すのも楽しみのひとつとか。「まだ誰も撮影したことのない場所だと、SNSで問い合わせをもらうこともあります。お気に入りのバーやカフェはオーナーに掛け合って特別に許可をいただいて撮影しています。だいたいお客様がいなくなってから撮影になるので、明け方4時とかに撮影したものもありますよ」

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さらに、ときどき仲間と公園やセルフスタジオを借りて撮影することも。
「仲間のドールもそれぞれ個性があって、各々撮影しながら情報交換するのは楽しい時間ですね」

撮影方法もさまざまで、一眼レフカメラの人もいれば携帯の人もいる。またドールを大きく撮影する人もいれば、背景のなかにドールがある構図を好む人もいる。

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まきばさんと一緒に撮影を楽しむ現役カメラマンはこう話す。「僕の場合は“カメラが好き”というところからドールに入りました。まきばさんのようにイラストの参考から入る人もいればファッションから入る人もいて、皆さんさまざまです」と。

最後にドールの魅力をまきばさんにお聞きするとこんな答えが返ってきた。
「やはり、自分の理想の子を自分で作れることですね。ドールって、愛で変わるんですよ」といったまきばさんの言葉が印象的だった。

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