”線維筋痛症”という病気をご存知でしょうか。線維筋痛症とは身体の広範囲に痛みが生じる慢性的な疾患です。この病気はあまり知られておらず、見た目からはわかりにくい症状のため理解が得られにくいというのが現状のようです。
線維筋痛症を患っている明日実えり(@eri_kumachiwawa)さんは、なかなか理解が得られにくい線維筋痛症を広めるために、さまざまな活動をされています。
X上で線維筋痛症について投稿されると、同じ病気の人からのコメントや「知らなかった」という声などが寄せられました。
今回は、明日実えりさんに線維筋痛症や自身の活動などについて話を聞きました。
線維筋痛症を広めるため活動
ー線維筋痛症という病気を広めるために配信やモデルなどの活動をされてますが、そのきっかけを教えてください。
難病だけど指定難病ではないため医療費は高額で障害者年金も難しく、見た目ではわからないことから「嘘つき」と言われることも多く、すべてを終わらせたい時期がありました。でも最期になにかしたい、どうせなら同じ病気の方の役に立ちたいと思い、タイミングよくSNSで声をかけてもらった配信のイベントに出たのがきっかけです。
ーSNSで発信をしているなかで、病気についてどんな反応がありましたか?
初めて知ったという方がほとんどでしたが、どんな病気なのか調べてくれたり家族や学校の先生に「知ってる?」と話してくれたりした方もいました。少しでも病名が広まるきっかけになればと応援してくださる方が大勢いて感謝しかないです。
ー配信ではリスナーの方とどのようなお話しをしていますか?
特に何の変哲もない、その日にあったリスナーさんのお話を聞いたり、一緒にゲームをしたりしています。
線維筋痛症を発症してから診断がつくまで
小学校5年生のときから痛みを感じていたえりさん。診断がつくまでの経緯について聞きました。
ー症状が出てから学校生活などはどのように過ごしていましたか?また、そのころの心境なども教えてください。
当時は線維筋痛症についての認知度が今以上に低く、痛みを訴えても「みんな我慢しているんだ」と必ず言われるので「そういうものなんだ」と思って常に全力を振り絞っていました。そのせいか、よく食べよく寝る健康児と言われていましたね。
仮病や嘘つきと言われるのが悔しくて常に笑っていたのもあります。
ー社会人になって倒れてしまったとのことですが、そのころは発症した小学生のときよりも症状が悪化していたのでしょうか?
痛みが以前よりも酷くなり、いろいろな病院を転々としていたものの線維筋痛症にはたどり着けず、仕事中に痛みが限界に達して迷走神経反射を起こして倒れました。
小さい頃から、どこまでの痛みが普通のものなのかよくわかっていなかったので、悪化している自覚はあったもののどうしたらいいのかわからず限界まで達してしまったんだと思います。
ー動けない体になり、十数件の病院を回ってようやくついた病名だそうですが、なかなか診断がつかないことにどう思われましたか?また、病名がわかったときの心境についても教えてください。
なかなか病名がつかないものの、働けず動けずだったのでお金と時間がただただなくなっていくのが怖くて仕方なかったです。診断がついたときは「自分は嘘つきじゃなかったんだ」とわかって泣いてしまいました。
現在の症状について
ー線維筋痛症では全身に痛みが広がる症状とのことですが、痛みに波はあるのでしょうか?もしくは、痛くない瞬間はなく、常に痛い状態なのでしょうか?
人それぞれ症状は違うそうなのですが、私は痛みのない瞬間はないです。痛みの波はありますが、私は小さい頃から隠して生きてきたので、今はまだ数時間笑顔を保つことができます。これができなくなったとき、私がメディアに出る活動の終わりだろうなと思っています。
ーえりさんは治療についてどのようなことをされていますか?また、ご自身で痛みに対してされている対策などがあれば教えてください。
鍼、電気、マッサージ、食生活の改善などいろいろしてきましたが、今は投薬治療が主です。薬だけでも毎月2万円以上かかっているので、試してみても満足いくまで続けられないのが現状です。私は痛みが頭にくることが多いので、常に冷却ジェルシートを貼り氷枕をして横になっています。頭痛には2種類のタイプがあり、冷やすと楽になる人と温めたら楽になる人がいるそうです。あとはひたすら横になっています。痛みで気を失っている時間が多いのですが、リラックスできるお香を焚いて、眠りやすい音楽をかけ遮光カーテンで部屋を暗くして(光でも痛みを感じることがあるため)氷枕を常備して横になるのが今1番最善ですかね。
ーえりさんは日常生活で、前までできていたのに線維筋痛症になってできなくなったことなどはありますか?また、あればそれをどのようにフォローしていますか?
まず動けないため体力がなくなり、長時間立っていられなくなりました。料理や掃除、洗濯などの家事中に倒れてしまうため一人ではできません。また、お風呂もシャワーの水圧に痛みを感じたり、湿度や湿気でのぼせて倒れたりすることが多々あり、毎日は入れません。日常生活を当たり前に過ごすこと自体が困難です。
見た目にはなんの異常もないので、これを理解してもらうことが本当に難しく、旦那が今はほとんどを請け負ってくれています。感謝しかありません。少しでも自分にできることはないかと、毎日手探りの状況です。
病気についての理解を広めたいという思い
ー活動を続けるなかで、病気についての理解が広まっていると思うときはどのようなときですか?
最近は、病名はなんとなく聞いたことがあるという方が少しずつ増えてきたような気がします。また、知らなくても調べて質問をしてくださったり「知らなかっただけで周りに線維筋痛症の方がいたんだけどどう接したらいい?」など聞いてくださったりする方が増えてきて少しは役に立てているのかなと思います。
ー配信活動をする前、この病気への理解や認知度が足りないと感じた瞬間はどのようなときでしょうか?
やはり私が配信上では元気に接しているせいで、いまだに「嘘つき」「仮病」などという言葉はいただきます。
また、自分の医療費くらいは自分で稼ぎたいのですが、仕事の依頼など応募しても「なにかあるといけないから」と断られることが多いです。こればかりはどうしようもないのですが理解が広まり、多少は改善されると嬉しいです。
線維筋痛症は、周りからの理解が得られにくいということから、1人で苦しみながら生活している人も多いと明日実さんはいいます。
また、明日実さんは現在療養中のため表立った活動はお休みしており、自宅でできる仕事をしているとのことでした。
今後、病気に苦しむ人の生活環境が改善されることが望まれますね。