元お笑い芸人の宮野貴至さんは、2022年に病気が原因で左腕を切断することを余儀なくされました。現在は「片腕男子」と称し、SNSを通じて料理にチャレンジする姿を発信しています。様々な自助具を活用しながら、生き生きと発信する宮野さん。
今回使用しているのは、まな板に釘が打ち付けられた「くぎ付きまな板」です。片腕で料理することの大変さや、これからの目標について聞きました。
「くぎ付きまな板」は両腕で料理している感覚
自助具とは、障がいなどを持つ人が日常生活を快適に送るために工夫された道具のことです。
宮野さんは右手だけで料理を行うため、包丁を持つと具材を固定できません。特にじゃがいもや人参、茄子のような転がる野菜は非常に切りにくいそうです。ヘタを切るだけでも30秒くらい必要でした。
しかし自助具である「くぎ付きまな板」を使用すると、具材を釘に刺して固定できるので両腕で料理するのと同じくらい効率よく作業できるそうです。
宮野さんは自助具についてインターネットで調べていたときに「くぎ付きまな板」に出会いました。
宮野さんによると「障がい者向けのまな板」などのワードで検索すると自助具を見つけることができるようです。まな板の他にも、両手を使わないと食べづらい納豆の自助具や滑り止めマット、洗濯バサミを使用しているそうです。
片腕での日常生活で意外に大変なこと
料理以外にも、大変なことは多いと宮野さんは言います。
意外と大変なのは、レジでの会計で財布からお金を取り出すこと。
宮野さんは基本的にキャッシュレス決済で支払いますが、利用できないお店で現金を取り出す際には少し時間がかかるようです。
レジで後ろに列ができているときは、焦ってしまうこともあるそうです。
SNSで料理について発信する理由
宮野さんは「片腕」というハンデを持ちながら、YouTubeやInstagramで料理に取り組む姿を発信しています。
料理を選んだ理由について尋ねると「片腕というキャラクターがどんなことに取り組めば、視聴者の目を引くのか」を考えたそうです。
そして料理に取り組む姿を発信することを決意。これまでに多くの動画をSNSで発信してきました。
これからは、DIYに取り組む姿も発信していきたいそうです。
発信を継続して目指すゴールとは
料理に特化した情報を発信していく中で、宮野さんにはチャレンジしたいことがあります。それは「魚を捌(さば)くこと」。これまでに何度かチャレンジしたものの、片腕では魚を捌けなかったそうです。宮野さんは魚を捌けるような義手を作って、思い切り魚を捌いてみたいと話しています。
そしてチャレンジを続ける宮野さんは、以下のように目標を語ってくれました。
「僕はよく『腕見つけたら拾っといてください』と言っているので、発信を続けて僕のことを知って『みやちゃんの腕拾ったよ!』という人が現れることが目標です!みんなが僕のことをいじれるようになればいいなと思っています。」
目標を語ってくれた宮野さん。これからも自分のことや障がいを持つ人のことを多くの人に知ってもらうために挑戦は続きます。