普通に暮らしているように見えて、目に見えない困難を抱えながら過ごしている人もいます。
笑歩(@APD_efu)さんは、聞き取り困難症を抱えています。現在は聞き取り困難youtuberとして、自身の症状などについて発信しています。聞き取り困難症は日本ではまだよく知られていないものなので、初めて聞いたという人も多いのではないでしょうか。
今回は、笑歩さんに「聞き取り困難症」について話を聞きました。
聞き取り困難症とは
ー聞き取り困難症とはどのような症状ですか?
「聞こえているのに聞き取れていない」言葉通りそのままです。聴力は正常なのに、聞き取れていないこと、聞き返しが多い、周囲の背景音があると音が混ざって会話が困難になるなど人によって聞こえ方は様々です。
ー具体的にどのように聞こえているのでしょうか?
「私の場合」ですが、周囲の音が全部耳に入ってきて、聞きたい人の声を妨げてしまい「え?」と聞き返してしまうことが多くなります。 また、男性の声などの低音だと何を言っているのか分からないこともあります。
ー目で理解されづらい症状だと思うのですが、この症状を患って苦労したことはありますか?
性格上、会話は明るく振る舞っていることが多いので私は特に問題はないです。仕事もクリエイターや動画の配信をしていることが多いため、人とのコミュケーションを避けて仕事をしています。
強いて言えば飲食店に行った際、自分で注文するお店で横文字が店内BGMに邪魔されて聞き取れないことが多く、なんでも「はい!」と答えていたら、食べたくないものが出てきたので、そのときはちょっと自分に笑えました。
動画投稿のきっかけ
ー動画投稿するようになったきっかけはなんですか?
学生の頃から何となく会話になっていないし、ネットで調べても情報が無く、たまたま“YouTuber”という職業が盛り上がっていたので夫がやりなよ!と声をかけてくれたのがきっかけです。
「みんなもあるよね?」と共感を求めるように自分の聞こえ方を投稿したら今は10万再生数になっていますが、投稿した翌日これがバズっていたのにビックリしてました。やっぱりみんなもあるんだなぁ、と自分だけではないと思って発信し続けました。
聞き取り困難症への向き合い方
笑歩さんが聞き取り困難症と判明したのは22歳の時です。この症状が判明した時は「まさにこれだ!」と気持ちがスッキリしたといいます。
ー症状が判明するまで、どういったお気持ちでしたか?
モヤモヤしてなんだろう?これはなんかの病気なのか?それとも自分になにか問題があるのか、よく分からない気持ちでした。
ー病院で検査を受けるきっかけは何だったのでしょうか?
「聞き取れない」を検索していたら耳鼻科の先生が書いた本が出てきたので「これだ!」と思い思わず受診しました。
ー治療法がないとありますが、現在はAPDとうまく付き合っていくうえで、どのような工夫をしていますか?
聞き取れなかったら素直に「何?」と明るくいうこと。そして、ずっと「何?」ばかりだと相手も不快になるので、聞こえた通りに「こう?」と言ってみると相手も反応してくれるので、素直に明るくで乗り切っています。
私は補聴器具などは不要な人なので、コミュニケーションの取り方、相手との話し方で上手く付き合っています。
現時点では明確な治療法が確立されていない「聞き取り困難症」。今後研究が進み、聞き取り困難症をもつ人たちへの理解が深まり、暮らしやすくなるといいですね。