チックとは、本人は意識していないのに、素早い動作などがくり返し起きるものです。はっきりとした原因はわかっていませんが、幼児期から小学生の年齢の子どもに発症することが多いといわれています。
(参考:「東京都こども医療ガイド」https://www.guide.metro.tokyo.lg.jp/trouble/chick/index.html)
ねこじま いもみ(@neko_jima_imomi)さんは、3人のお子さんのお母さん、Instagramにて育児漫画を投稿しています。
今回投稿されたのは、当時年長児だった長女わっちさんのチック症状について描かれた漫画。わっちさんのチック症状について、ねこじまさんに話を聞きました。
チックの始まり
最初に咳払いのチックが出てきたのは、年長の夏だったそうです。最初は普通に風邪のような咳でしたが、なかなかおさまらず、だんだん喉の奥の何かを気にするような咳払いも出るようになったというわっちさん。最後の方はほぼ咳払いのような症状になりました。
咳が夜中も続いてわっちさんもねこじまさんも疲弊していきました。
ーねこじまさんが一番つらかったのはどんなことでしたか?
1番つらかったのは長女が激しく泣いてしまうことでした。何もしてあげられないし、どうしていいかわからないし、そんな姿を見るのつらかったし、仕方のないことなのに毎日のことでイライラしてしまうことにも自己嫌悪でした。先も見えずただただ抱きしめながら背中をさすっていた記憶があります。
咳の原因を探る日々
咳の原因を突き止めるために、病院へ通うねこじまさん。薬を試したり咳の様子を動画で記録したりと、わっちさんのために試行錯誤する日々でした。
ー原因がわからなかったときはどんなお気持ちでしたか?
まず何かわからない、いつ治るかわからないという不安と、何か大きな病気だったらどうしようという気持ちでした。
ようやくわかった咳の原因
そして、ようやくわかった咳の原因は「チック症」でした。
ーその咳がチックだとわかったときや、チックに対する対応が「愛の無視」と先生に言われたときはねこじまさんはどう思われましたか?
まず、チックという症状をこれまで身近に感じたことがなかったので本当に驚きました。「これチックなの?」という思いでした。
先生から無視するように言われた時は、めちゃくちゃそのことに触れる声かけをしていたことに後悔と反省でした。また「愛の無視」という表現も初めて聞き、なるほどと思いました。
チックの原因が「環境の変化やストレスもある」と聞いて、自分を責めてしまったねこじまさん。
ねこじまさんはこのとき、旦那さんと不仲で離れて暮らしていたのです。
そんなときに先生は「お母さんの元気が今のわっちさんには一番の薬」と言いました。
ー先生の言葉は、今も意識されているのでしょうか?
育児で大変なことは今もほんとにたくさんあって悩んだりすることも多いですが、なるべく明るく楽しく過ごせるように心がけています。
でもイライラしてうまくできない時もたくさんあります。そんな時は子どもたちに「怒りすぎたごめん」と正直に言ったり、自分の気持ちを話したり、コミュニケーションを取るようにしています。家族の雰囲気を良くできるようなお母さんを密かに目指しています(笑)
生活の変化
その後ねこじまさんは、わっちさんのために離れて暮らす旦那さんと話し合ったり、働き方を改善したりしました。
ーそのときのことでの苦労や、もしくは良かったことなどがあれば教えてください。
仕事に関しては、それまで資格も取って自立しようとも思って必死にやっていたのにもかかわらず、時間を減らしたり辞めたりしたのですが、不思議とそこまでもったいないと感じませんでした。多分私自身も仕事ばかりで子どもたちとの時間があまりなく、おばあちゃんに頼る生活がつらかったのもあると思います。
夫との関係については、最終的にはまた一緒に暮らして今は平和に過ごしていますが、不仲で一度離れていたのでそれを修復するのは本当に本当に大変でした。
でももう一度家族みんなで暮らしたいという思いは実は夫も持っていて、話していく中でお互い素直になれた感じです。このことがあったので、夫婦間での思いやりだったり、相手とうまくやっていくための距離感だったりを考えるきっかけになりました。
ー今のわっちさんは症状も落ち着いているようですが、チックが出ていた頃のことをわっちさんと話し合ったりはしますか?
話します。今回この話を描くにあたっても話をしました。長女はほんのり覚えている感じです。「あーなんか大変だった気がするー!」ってぐらいでした。
同じように悩む人たちへ
ー同じように悩む方に届けたいと発信されていますが、特に伝えたい思いはどんなことですか?
もしも私のように咳チックをまだ知らない方がいたとしたら、何か気がつくきっかけになるといいなぁと思います。
しかし、すべてがチックというわけではないので、長女もチックとわかるまでに副鼻腔炎やアレルギーも判明しました。そういったあたりも「もしかして…」という風に気づくきっかけにもなったらいいなぁと思います。
また、チックへの接し方も参考になればと思います。私自身もこの作品を通してたくさんの方にコメントやメッセージをいただきすごく勉強になりました。また同じような思いや悩みを抱えている方がたくさんいらっしゃることを知りました。ぜひ私のInstagramのコメント欄も読んでもらえると参考になることがたくさんあると思います。そして、チックに対するまわりの優しい理解が今よりも増えることを願っています。
原因がわからないと、どうしたらいいかわからずに悩んでしまいますよね。また、チックといっても症状の出方などは人それぞれなので、探り探りになることも。
しかし、そんなとき同じように悩んでいる人と繋がれると心強いですよね。今回のねこじまさん親子のお話に助けられたという人もいることでしょう。