体幹機能障害をもつ3歳の息子 ”初めて歩いた”意外な瞬間に「感動で涙が」「うるっとくる」の声

体幹機能障害をもつ3歳の息子 ”初めて歩いた”意外な瞬間に「感動で涙が」「うるっとくる」の声
歩いて走って③(@bepo_shioriさんより提供)

体幹機能障害とは、体幹(頚部・胸部・腹部・腰部)部分の異常・損傷などによって、日常の動作や姿勢の維持などに困難を生じる障がいです。

しおりカムホーム(@bepo_shiori)さんの息子さんのカムさんは、両耳高度難聴や発達障害などの複数の障がいを抱えています。Instagramでは、カムさんの成長記録を漫画にして公開しています。

今回投稿されたのは、カムさんの幼い頃の成長を描いた「歩いて走って」と題した漫画です。
公開されている漫画について、しおりさんに話を聞きました。

カムくんが初めてひとりで歩いた瞬間

カムくんは当時3歳。つかまり立ちや伝い歩きなどはできたものの、なかなかひとりでは歩けなったカムくん。
カムくんが歩いたのは、眠くて仕方のなかったときのことでした。

カム②
カム②

眠いと抱っこしてほしくなるカムくん。しかし、そのときしおりさんは「あと少し待って」と言いました。するとその言葉に納得できず、ぐずりだしてしまったカムくん。

掴んでいた椅子から手を離し、ひとりで歩いたのでした。

カム③
カム③

その後は、またひとりではなかなか歩こうとしなかったカムくんですが、柔らかい床にしたところ、歩くようになったそうです。

カム⑦
カム⑦

こちらのシリーズの漫画が投稿されると「感動で涙が」「うるっとくる」「やったー!」などのコメントが寄せられ、多くの人がカムくんの成長を見守っているのが伝わります。

漫画を描き始めたきっかけ

ーカムさんとの経験を漫画にしようと思ったきっかけはありますか?
私たち夫婦は東京で生まれ育ち、カムも東京で生まれました。カムの障がいが発覚し、実家のサポートが必要だったので、ずっと東京に住むつもりでした。
しかし、2011年の東日本大震災が起こったことで、東京に居続けるのは難しくなりました。食べ物のこだわりの強いカムのための食材が手に入らず、毎日のように地震が来て揺れるたびにカムが不安定になって泣き叫ぶようになりました。
そのときに気分転換のつもりで、北海道に住む友人宅に1ヶ月お世話になったとき、北海道がカムにあっていると強く感じ、引っ越すことにしました。

カム⑨
カム⑨

実家から離れて暮らすことになったので、孫の様子を知らせてあげたい!という思いで、まずはブログを更新し始めました。しかし、なかなかいい写真が撮れなかったことと、もともと絵を描くことが好きだったことから4コマにしてみたら家族や友人に好評で、そのまま描き続けて約10年になりました。

ー漫画に描かれているなかで、最も印象に残っている出来事はどのエピソードでしょうか?
カムを連れて札幌駅まで電車に乗ったときのお話。たまたま出会った男子高校生にそっとサポートしてもらったお話です。今まで息子と一緒にいることでたくさんの方に助けられました。カムと一緒じゃなかったら何事もなく通り過ぎていたのか思うと貴重な体験です。

カム⑧
カム⑧

ーカムさんが幼いころのお話ですが、何歳ぐらいまでのお話を描く予定でしょうか?
カムが小学生になったときから漫画を描き始め、通常は日常漫画を。連載漫画ではカムが生まれたときからのエピソードを描いています。いつまで描くのか決めていませんが、漫画を描くきっかけが実家の両親に見てもらいたいということだったので、きっと、ずっと描き続けるんじゃないかと思います。

漫画が支え合う場に

ーこの漫画を発信することで、どのような変化がありましたか?また、良かったことなどもありましたら教えてください。
漫画を発信することで、私の中で変化がありました。
カムの子育ては、言葉が通じなく、一つ一つのステップがかなり時間かかり、こだわりが強いので工夫が必要でした。育児に疲れて困ったときは、漫画を見てくれている方がアドバイスをくれたり、落ち込んだときは励ましてくれたり、うまくできたときは褒めてくれたり。お母さんはみんな育児を頑張っていると思うのですが、褒められることってあまりないと思うんです。でも、カムの成長を見守ってくれて、さらに、私の子育てを応援し励ましてくれる。そんな支えが励みになりました。

今では、しおりさんの漫画は、同じように障がい児を育てている人たちからも親しまれています。しおりさんは「私もそうでしたが、障がい児の子育てをしていると孤立しがちなので、情報共有したり、愚痴ったり、共感したりできる場になったらいいなと思って描き続けています」と話しました。

ーこの漫画を読む方に伝えたいメッセージはありますか?
「息子に障がいがある」と言うと「かわいそうに」と言われることが多いんです。息子は障がいが重く、できないことがとても多いのですが、楽しみを見つける天才だと感じます。みんなが何気なく使っている物、気にもかけず通り過ぎてしまう物の魅力を見つける目が鋭いのです。カムの世界をちょっとのぞいて、一緒にその世界を楽しんでもらえたら嬉しいです。かわいそうな子というイメージが変わったらいいな~と思います。

現在のカムさんは…

ー今のカムさんが頑張っていることはなんですか?
それは…お母さんの目を盗んで、イタズラすること!(メガネとかパソコンのマウスとか、触ったらダメとママが言っているものをおもちゃにしようとしている)毎日のようにチャレンジしていますよ。
私は、トイレトレーニングとか、自分で着替えをするとか、他に頑張ってほしいことが山ほどあるのですが。今、カムのそのイタズラに対する熱意を何か日常生活で必要な作業上達のための訓練にすり替えられないか試行錯誤中です。

カム⑩
カム⑩

子育ては孤独になりがちです。そんなときに、情報交換できたり励まし合ったりできる場があるだけで、親御さんの気持ちも楽になりそうですよね。

今後のカムさんの物語も楽しみです。

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