3度の余命宣告を受け寝たきり状態だった愛猫 “安楽死”をすすめられつつも飼い主との二人三脚で半年ぶりに歩けるように

3度の余命宣告を受け寝たきり状態だった愛猫 “安楽死”をすすめられつつも飼い主との二人三脚で半年ぶりに歩けるように
飼い主さんお手製の歩行器で歩くリハビリをしているとも君。(@tomozou_1225さんより提供)

私たちに癒しを与えてくれるペット。いてくれるだけで笑顔になれますが、人間と同じく具合が悪くなったり、最悪病気になってしまう可能性もあります。

今回は、FIP(猫伝染性腹膜炎)と診断され寝たきり生活になった猫のとも君(@tomozou_1225)が回復し、再び歩けるようになった経緯を飼い主さんにお伺いしました。とも君についての投稿はX(旧Twitter)をメインに、YouTube、ブログでも発信されています。

余命3ヶ月宣告

2020年12月に保護施設から我が家にやってきたとも君。元々は野良猫として外で過ごしていたので、この先飼い主さんと幸せな生活を送れるはずでした。

2021年4月のとある日。
「とも君の目がくもってる…?」

病院を3軒まわって、とも君はFIP(猫伝染性腹膜炎)であると診断されました。FIPの致死率はほぼ100%。医師からの診断は、「食欲不振、元気喪失、貧血、その他血液検査の結果も合わせ、FIPドライタイプの末期で間違い無いだろう」との診断を受けました。

同時に受けたのは1~3ヶ月の余命宣告でした。

とも君を救いたい

涙が枯れるくらいショックで泣いた飼い主さん。未承認の治療方法があると知り、藁にもすがる思いでとも君の治療を始めます。
3ヶ月以上毎日、注射での投薬はかなり大変だったそうです。一時良くなりましたが、2021年12月に病気は再発してしまいます。

再発を告げられてから3ヶ月後の2022年3月に寝たきりになり、認識障害も発症してしまいました。飼い主さんは脳神経専門病院へも行きましたが、医師からはこのように告げられたそうです。

「結論としてできる治療はもうありません。とも君と飼い主さんご家族のためにも、安楽死も視野に入れてください。」

どうしたら良いのか考える飼い主さん。たくさん悩み、苦しんだといいます。

この頃、口の神経も麻痺していて、口から栄養を取ることができずチューブから栄養を取っていたとも君。医師には反対されましたが、家族との話し合いの結果、とも君のチューブを外します。

すると、「まだ生きていたい」という意思の表れなのか、とも君は自力でご飯を食べ始めるようになりました。

この姿を見た飼い主さんは、再びとも君と頑張ろうと決心します。そこからは、たくさんの治療法を試し、とも君に合った治療方法を見つけていきました。

ともくん
ともくん

すると、少しずつ、少しずつとも君の容体は良くなっていったのです。
半身不随の猫を飼っていて、鍼治療とリハビリを専門的に診てくださる先生に出会えたことが転機となりました。

初診で先生は、とも君の手足が少し動くこと、体がそこまで痩せてなくて、筋肉もまだ残っていることなどを指摘し、「歩けるようになると思う」と言ってくれました。飼い主さんはその言葉に病院で涙が溢れたのを覚えているそうです。その言葉を信じ、自宅での歩行器練習を続けました。

先生からは、歩行器を使った訓練のアドバイス、マッサージとツボ押しを丁寧に教えてもらったそうです。

鍼は始めは週二回、歩行訓練は毎日朝晩二回行っていました。とも君は嫌がらず、いい子で受けてくれていたそうです。調子の悪い日は休ませ、歩行訓練を行った日はたくさん褒めてあげました。

歩けるようになったよ!

とも君が歩けなくなってから約半年後の2022年8月末、ついに奇跡が起こります。明け方、とも君がトイレに向かって数歩、歩き始めたのです。

四肢麻痺で何度体を持ち上げても横に倒れていたとも君。医師には「ここまで麻痺がある子 を見たことがなく、もう歩けないと思う」と言われていました。

ともくん
ともくん

安楽死をすすめられ、余命宣告は3回受けていた飼い主さん。正直、「もう、とも君は歩けないのではないか」と思っていたこともあったそうです。家族とは「こんな状態からでも君が歩けるようになったら奇跡だよね」と話していました。

明け方にとも君が数歩歩いている姿をみた時は、ただただ涙が溢れて、これは現実なのかなと思ったそうです。

その後は、歩行器の力をあまり借りず、歩きそうなときは体を支えるサポートのみ、そのまま歩けそうならサポートをゆっくり外してみて歩かせてみるというトレーニングをしました。

現在は、とても元気にしているとも君。
歩く姿は普通の子と比べるとぎこちなく、転んでしまうこともあります。それでも一生懸命に尻尾を立てて歩いています。小走りなら走ることもできるそうです。寝たきりだったとは思えないくらいの回復力ですね。

ともくん
ともくん

最近は、いつもよじ登っている30cmくらいの段差をジャンプして登ったようで、とも君がこの高さのジャンプをするのをみたのは2年ぶりくらいだったそうです。

認識障害も良くなりつつあり、名前を呼ぶと反応してくれるのだとか。

たくさんの応援に救われています

大変な時もありますが、たくさんの方の励ましでここまで来ることができたと飼い主さん。

とも君が何か出来るようになった時は、飼い主さん家族以上に喜んでくれたり、具合が悪い時は、神社にお参りに行ってくれたり、心から心配してくれたり、皆さんの応援が心の支えになっているようです。

「また大変なことがあっても一緒に乗り越えようね、よろしくね」

ともくん
ともくん

とも君は主に飼い主さん姉妹でお世話をしています。「とも君がお家に来てくれてから、本当に姉妹でたくさんの会話をするようになった」と飼い主さん。

とも君と出会えたことで、家族の絆は深まり、家族の大切さにも気づかされたとのこと。

とも君は、現在も脳に障がいがあります。FIPの影響で脳室に髄液が過剰に溜まり、脳神経を圧迫している状態だそうです。

本来は、治療として髄液を取り除く手術をするべきですが、難しい状態。これからも症状が悪化する可能性があり、きっとさまざまな困難に直面するかもしれません。

「とも君は私にとってもちろん家族の一員なのですが、一緒に困難を乗り越えた同志のような感じもしています。『これからまた大変なことがあっても一緒に乗り越えようね、よろしくね』と声をかけています」と飼い主さん。

これからもゆっくりとリハビリを続け、一日でも長く幸せに過ごしてほしいですね。

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