「コロナ禍、政治の大切さを体感した」もっと若者に政治を身近に、徳島の女子高生のチャレンジ

「コロナ禍、政治の大切さを体感した」もっと若者に政治を身近に、徳島の女子高生のチャレンジ
大松谷萌々香さん

18歳選挙権が施行されて約7年。若い世代の政治への参画は課題であり続けている。政治家の担い手不足が問題になっている地域もあり、若者がいかに政治に対して関心を持つかは今後の日本社会にとって重要なテーマだ。

そんな中、徳島県に同世代が政治を身近に感じてもらうための活動に取り組む女子高校生がいる。彼女の原動力とは一体何なのだろうか。活動のきっかけや取り組みを伺った。

大松谷萌々香さんは人口7万人ほどの自然豊かな阿南市に生まれ育った。友達といつも外で遊ぶような活発な子どもだったという。

「小さい頃から人前に立つことが好きで、小学生の時は金管バンドと将棋クラブの部長を、中学生の時は生徒会長と剣道部の部長をしていました。」

剣道部に取…大松谷さん
剣道部に取…大松谷さん

きっかけは新型コロナウイルスの感染拡大

そんな中、彼女のその後の人生の転機が訪れる。新型コロナウイルスの感染拡大だ。中学2年生の時だった。

「徳島で1人目の感染者が出た時、世界がこのまま滅びてしまうのではないかと思ったくらい、危機感を抱いていました。徳島県では、県外ナンバーの車に投石をするような事件も起きていましたが、私も当時とても情報リテラシーが低かったです。」

突然の休校。再開後も、体育祭や文化祭といったイベントは中止に。楽しみにしていた学校生活とはほど遠い日々を過ごすことになった。このようなきっかけを作ったのは、良くも悪くも政治だった。自然と、政治に関心が向くようになっていった。

「この時、政治の大切さを痛感しました。そして、政治の力に左右されたからこそ、自分も政治家になって困っている人を助けたいと、少し短絡的かもしれませんが、政治家に憧れるようになりました。」

それまでも、両親の知人に市議会議員の方がいたので、議員という存在は身近だった。また、江戸時代から続く母方の祖母の旅館が廃業になったり、父方の祖母の実家が限界集落だったりと、地域の衰退に直面していた。でも、政治への関心には繋がっていなかったという。

「政治の役割や持つ力にやっと気付いたんです。そこで、とにかくまずは政治家になりたいことを周囲に話しました。友人たちや周囲の大人たちも応援すると言ってくれて、まずは政治家に会ってみたいと市議会議員さんや前市長さんとお会いして、政治についてお話を伺うようになりました。中学3年生の頃のことです。」

大松谷萌々香さん
大松谷萌々香さん

SNSでの出会いから中四国支部の設立へ

高校進学後、Instagramがきっかけで、お隣の香川県にも自分と同じように政治に関心のある高校生と出会った。多田真生さんだ。

「多田さんから、zextというオンラインコミュニティを紹介されました。ここでは、全国の30歳以下の若者たちが、支持政党や価値観を超えて集まり、政治について学びあったり議論したりしていました。私と同じ中高生もいました。でも、やはり四国の若者はほとんどいなかったですね。そこで、多田さんから中四国支部の設立を誘われたんです。」

県議会議員…イン座談会
県議会議員…イン座談会

2022年にzext中四国支部を設立。運営メンバーは地元の大学生2人と高校生2人の計4人。政治家と若者が気軽に出会い、意見交換ができるイベントを開催している。これまで、昨年の統一地方選挙前に香川県議と徳島県議を招いたトークイベントを行ったり、阿南市長と地元中高生の座談会を行ったり、徳島県議会の見学や、衆議院議員との座談会など、様々な企画をしてきた。運営メンバーの支持政党や価値観は多様だ。だが、その違いは問題になったことはない。若者に政治を身近に感じてもらうという共通目標のもと、共に仲間として活動している。ゲストとしてお招きする政治家の方々も、公正中立を大切に、様々な党派の方に依頼している。

「イベントは、各回20〜30人くらいの若者が参加しています。主に高校生です。現実としては、政治に関心のある若者は少なく、zext中四国支部の団体としての知名度も低いです。そんな中、政治に関心があまりなかったけど参加してみました、投票してみようと思いました、という声が多く、やりがいを感じます。でも、もっともっと多くの若者に届けたいと思っています。」

国会議員の…との座談会
国会議員の…との座談会

受験真っ只中、情熱を注ぐわけ

そんな大松谷さんは、いま高校3年生。受験生真っ只中にもかかわらず、情熱を注ぐわけとは何か。

「前回の統一地方選挙で初めて投票をしたのですが、そこで感じたんです。候補者の違いをどう知ればいいのかわからないと。国政と比べて、地元の選挙は関心が低くなりがちですが、その地域で暮らす人々にとってとても重要なことだと思います。まずは、どんな思いを持った議員の方々がいるのか知ることができる機会を作りたいと思いました。」

政党にかかわらず、中四国地方の様々な議員の方々のことを、若者が気軽に知ることができる機会作りに取り組んでいる。

Insta…アカウント
Insta…アカウント

「これからも、若者が政治を身近に感じてもらえる機会や、若者の意見がダイレクトに政治に届けられるような機会を作っていきたいと思います。また、政治にいざ関心を持った時に、気軽に政治に触れて学べる場がないので、それを実現できるコミュニティとしてzext中四国支部を成長させたいと思います。
私自身としては、この地元阿南市を盛り上げたい、よりよくしたいと思います。なるべく早く立候補して、地元に貢献したいと思います。」

大松谷さんらが開催するイベントについては、zext中四国支部のInstagramアカウントで見ることができる。ぜひ彼女のこれからの挑戦を応援したい。

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