デザインした義眼がSNSでバズった!?
宝石のような美しい義眼を手に入れるべく、数年かけていくつかの製作所に声をかけオリジナルデザインの義眼を作れるところを探した。しかし、何件も巡っても見つからず、瞳を大きくさせるデザインでさえ断られてしまうことも。「ならば自分で製作しよう」と義眼技師としての技術獲得を模索するも難航し、諦めかけていたところにやっとデザイン義眼をつくってくれるという製作所が見つかった。そして、ともに試行錯誤しながら試作を作ってもらいSNSに掲載したところ、瞬く間に拡散された。
そして、本格的に自らの手で義眼を製作したのは2023年からだった。
前職で働いていた会社では、見た目のことを揶揄する人が多かった。我慢していたものの、「自分のアイデンティティをけなされるところにいるのは辞めよう」と決心し2021年に退職。退職後はNHKのオーディションに応募し、番組「バリバラ」に出演したり、Creative Hack Awardに義眼アーティストとして応募しグランプリを獲った。
また、2021年より会社を辞めたフリーの時間を使って諦めかけていた義眼についての勉強を再開した。2年かけて義眼技師としての技術を習得し、2023年より一からデザインし、医療用の樹脂を使って自分用の義眼を作り始めた。
リブさんの義眼は、様々な作品などからインスピレーションを受けデザインしている。今まで自分でデザインして製作したものは8つほど。製作所で作ってもらった義眼を合わせるとデザイン義眼は11個ほどになる。
選択肢を増やす活動がしたい
現在、自分の分を作っているのみで、義眼の販売はしていない。今後の活動についてリブさんに話を聞いた。
「今までの発信活動で義眼ユーザーの方から『リブさんのような義眼を作りたい』と問い合わせが来ることがあります。以前は最初にデザイン義眼を作成頂いた製作所を紹介していましたが、現在は健康上の理由で長期休業されている状況です。その製作所さんにデザイン義眼を作成してもらえたおかげでとても救われた過去があるので、代わりに私が義眼製作所を今すぐにでも開業できれば良いのですが金銭的余裕・時間的余裕がなく、他の製作所を提示できない現状や業界に歯がゆさを感じています。そんな現状でまず出来ることとして、デザイン義眼の存在を周知するための発信活動・様々な表現方法を模索していきたいと思っています。それと同時に、数年単位の計画になってしまいますが、さらに技術を磨き、お金を貯めて環境を整えていつか自身の製作所を作りたいです」とリブさんは語る。
リブさんによると、デザイン義眼は日本よりもアメリカなど海外諸国のほうが確立されているという。デザイン義眼を発信している最も有名な方はアメリカ人で、「製作所を自分で開いたところで、自分一人だけですべての需要を賄いきれないと思います。発信することで、義眼のデザインの自由度の認知がないので、業界が少しでも変わればいいなと思っています」と話してくれた。
さらに、「義眼に限らず、体の一部を失った人たちにとって見た目の自由は限られていると思います。健常者といわれる方々はそれぞれなりたい姿があってファッションを楽しむけど、義眼など補装具を使用する方々はその枠の中で頑張りなさいと言われている気がして、少しでも選択肢を広がられるようになればいいなと思います」と語る。
義眼アーティストとして発信活動を続けて、いつかは自分の製作所を作りたいと語るリブさんは取材中、明るく話してくれた。今後、リブさんの活動、発信は多くの方を勇気づけるだろう。