AKB48を約3ヶ月で卒業「焦りが強くなった」宇佐美友紀さんの卒業後のキャリアに迫る

AKB48を約3ヶ月で卒業「焦りが強くなった」宇佐美友紀さんの卒業後のキャリアに迫る
宇佐美友紀さん(提供:株式会社プラスプラス)

元AKB48の一期生として活動していた宇佐美友紀さん。現在は1児の母として子育てをしながら週に1回レギュラーのラジオの仕事、ナレーションの司会やイベントの司会をしている。2023年4月からは事務所のマネージャーの仕事も始めた。

一期生のメンバーには板野友美、小嶋陽菜、高橋みなみ、前田敦子などそうそうたる顔ぶれだ。
アイドルだった彼女はなぜ、現在MCをしているのか。宇佐美さんのこれまで、アイドルのセカンドキャリアについて迫る。

デビューして約3ヶ月で卒業

宇佐美友紀さん
宇佐美友紀さん

AKB48の一期生として加入する前、宇佐美さんはアナウンサーになりたいという夢を追ってアナウンスの専門学校に通っていた。専門学校在学中からオーディションの募集を見つけ、司会の仕事など芸能の仕事を始めていた。

そんなとき目に入ったのが、当時読んでいた雑誌に掲載されていたAKB48の募集だった。
劇場のMCの募集もしていたため、元々アイドルが好きだった宇佐美さんは「秋元康さんが立ち上げるグループで、アイドルの子たちと一緒に働けるMCをやりたい!」という思いで応募したという。

しかし、いざオーディションが始まると、スタッフからMCの仕事は無くなるという報告を受けた。そのまま書類を出してみませんか?と声をかけられ、書類を提出するととんとん拍子で進んでいったという。

しかし、2005年12月にデビューしたものの2006年3月にはAKB48を卒業している。卒業した理由について宇佐美さんは「とにかく辛かったのが一番(笑)全部の講演を1チームでやるので、やることがものすごく多かったんです。あと、私はAKBに最年長で入っていたので、アイドルとして活動した先に、センターで踊れるというイメージが湧きませんでした。メンバーを見ていて絶対に売れるなって思っていたんですが、その時に私が何をしているのかが想像できなかったんです。そこにモチベーションが追いつかず、卒業するという判断をしました」と話す。

20歳でAKB48に加入した宇佐美さん。周りは15~16歳の子が多く、アイドルとして活動していく自分の姿が想像できなかった。

「若い子の中に入ってみて焦りが強くなったんです。次の事務所を探すには20代半ばでもきつい、早くうごかなきゃ!と思っていました」

当時は結婚願望もなく、楽しく仕事ができればいいなと思っていたため、表舞台に出るか諦めるかを考えたという。

AKB48で過ごした時間

AKB48での活動は数ヶ月しかなかった宇佐美さん。この活動期間は、宇佐美さんにとってどんな時間だったのだろう。

「思い返すと楽しかったけど制限や決まりごとが多く、本当に大変でした(笑)けど、思い返すとたくさんの方とのご縁もあり、今に繋がっていることも多いので学びの場でもありました。(中略)
毎日顔を合わせて、泣いたり笑ったり家族のような感じで、今の仕事でも学校生活や友達とでも今までの人間関係ではなかった時間の過ごし方だったので、かけがえのない時間だったなと思います」

AKB48を卒業してからは、もともと話す仕事は楽しいと感じていたため、セミナー、展示会の仕事をし、卒業して5年後に今の事務所のマネージャーに声をかけてもらった。

ラジオの仕事を通して、仕事にやりがいや楽しさも見いだせたという。

宇佐美友紀さん
宇佐美友紀さん

「1人でできないことが多くあるなって自分が迷ったときにすごく思ったんですが、あまり人と関わらず平坦な道で生きていく方が楽なのかな、と考えたことがあったんです。けど、ラジオだったらイベントみたいに楽しい気持ちではない方も聴きに来てくれる。そういった方にも少しでも明るい気持ちになってほしいなって思ったんです。
リスナーさんは知り合いではないけれど毎週知り合いみたいに接することができるので、ありのままの自分を心地よく感じてくれて、少しでも元気になるような手助けをしたいなと思っています。普通の生活ではない関係性を築ける今の仕事が楽しいです」

仕事と子育ての両立に「大丈夫だと言われても…」

仕事と子育ての両立について、将来不安に思う女性は多いのではないか。特に芸能界では、空いた期間に代わりの子に取られてしまうといった不安も出てくるだろう。
2019年5月に第1子を出産し、同年8月に復職をしている宇佐美さん。出産から約3ヶ月で復職をした彼女だが、やはり不安はあったようだ。

「一度抜けちゃうと次の人が入ってから戻るのってやっぱり難しいなと思っていて。大丈夫だよ!って周りから言われても、どの程度大丈夫なのか、同じ気持ちで挑めるのか、と漠然と不安がありました」

しかし、現在の事務所が復帰するもしないも選ばせてくれたという。
「本当は面倒くさいと思われているかな?申し訳ないなと思っていましたが、周りが温かく受け止めてくれました」

ずっと“お母さん”でいるのがきつかった宇佐美さんは徐々に仕事の量を増やした。

また、現在はマネージャーの仕事もしている宇佐美さん。出産と子育てが人生の中に入ってきたことで、事務所と仕事のやり方、ボリュームについて相談をしていた。

「“話す仕事が好き”でやっていたが、話す仕事の第一線として、他に携われる仕事はあるよねってところから、マネージャーの仕事もやってみない?という流れになりました」

事務所の先輩には出産・子育てを経験した方も多く、事務所の理解もあり仕事と子育ての両立ができるようになったそう。

今、目指していることは?

アイドル、ラジオのMC、マネージャー、母親。多くの経験を経て、今、宇佐美さんが目指していることについて聞いた。

「自分自身が輝いて楽しくしている様子を息子に見せたい。今までは人前で話したいという気持ちだけで終わっていましたが、近しい人たちがこういう生き方って楽しそうだなって思えるような姿を見せたいです。
まだまだ子育てとの両立でのバランスが取れないこともありますが、MCやマネージャーの仕事などパラレルワーカーとしてキャリアアップしていきたいと思っています。家では母親、外では仕事をしていますが、自分の心地の良いバランスを探すのが大事だなと思っています。双方が心地よく保てていないと、どちらにパフォーマンスを発揮できないと思うので」

宇佐美友紀さん
宇佐美友紀さん

最後に、アイドルのセカンドキャリアについて宇佐美さんの考えを聞いた。

「アイドルだったし、アイドル好きのファンの目線もありますが、すごく大事な時期に長く同じ環境において、時間を費やして頑張って見られないとどうにもない仕事。
若い時間、挑戦できることは限られているので、できる経験ができなかった子は多いと思います。自分が思い描いた経験ができなくて辞めることは不安だと思うけど、卒業生も増えて、セカンドキャリアがだんだん見えてきたと思います。
アイドルを経験した子たちは、本当に見えないところでもめちゃめちゃ頑張って、努力している子しかいない。エネルギーを注げる人が多いので、その子たちを見出せる人に出会ってほしいし、色んな選択肢に出会ってほしいです。
実際に、私の経歴を知ってSNSで進路の相談をしてくれる子もいました。近くにいるマネージャーとかに言いづらいのだと思います。気楽に考えられるような環境が見つかればいいなと思っています」

<プロフィール>
宇佐美友紀(うさみ ゆき)
埼玉県三郷市生まれ。株式会社プラスプラス所属。
アナウンス専門学校在学中に国体のアナウンサー・ニュースキャスター・リポーター・TVCM出演等を経験。
2005年には人気アイドルグループAKB48(Aチーム)のメンバーとして活躍。
卒業後はイベントMCとしてその才能を発揮する。
臨機応変に対応できる安定感のMC技術はクライアントからの信頼も厚く、業界内外での知名度も高い。
現在はラジオパーソナリテイ・リポーターなどの活動にも力を入れており、認知を広めている。

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