もし、核兵器が使われたらどうなるのだろうか。
原爆についての特集を観たり、実際に平和記念資料館に訪れたりした方などはなんとなく想像できるのではないだろうか。
しかし、核兵器の恐ろしさや生き残った人たちの苦しみについてを知らない、想像したことがないという方は世界にはまだまだたくさんいる。
長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)特任研究員の林田さんによると、ウクライナの戦争が始まったことで、核兵器の使用の可能性が戦後最も高いと言われているという。
そんな中、世界中から簡単にアクセスでき、核兵器の被害について詳しく知ることができるオンラインミュージアム「NO MORE HIROSHIMA&NAGASAKI MUSEUM」は、多言語で展開するため現在クラウドファンディングを実施している。
このオンラインミュージアムは、日本原水爆被害者団体協議会と特定非営利活動法人 ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会が共同で企画したものだ。
「NO MORE HIROSHIMA&NAGASAKI MUSEUM」のディレクターを務める林田さんに、ミュージアム公開についての背景についてを聞いた。
NO MORE HIROSHIMA&NAGASAKI MUSEUM
「NO MORE HIROSHIMA&NAGASAKI MUSEUM」は2023年8月6日から公開している。クラウドファンディングで集まった資金を運営費に充てる予定だ。
展示内容は各パートで個人に焦点を当てたストーリーや、広島・長崎の被害の実態などが写真を中心に構成されている。
現在オンラインミュージアムは日本語、英語で展開。資金が集まり次第、他の言語も増やしていく。
林田さんは「被爆者の方々は展示を通して“核兵器により人はこういう風に亡くなる”、“生き延びた人もこういう苦しみがあるんだよ”ということを伝えてくれています」と話してくれた。
人に勧めたくなるオンラインミュージアムに
今後、多言語で展開するミュージアム。林田さんに海外の原爆のイメージについて聞くと、日本と海外では認知の差が大きいという。
「私たちは普段、核兵器と聞くと広島や長崎の被爆の被害について連想することが多いと思いますが、世界的に見ると、日本の被害について目を向ける人は少ないです」
2023年5月に開催されたG7広島サミットの影響もあり、広島・長崎では外国人観光客が増えているという。しかし、実際に訪れるのはごく一部の人のみだからこそ、林田さんたちは「まずこのウェブサイトを見てみて」と人に勧めたくなるようなオンラインミュージアムが必要であると考えている。
「原爆、戦争についての講演会やイベント、授業などでこのオンラインミュージアムを活用してほしい」と林田さんは話す。
実際に公開してから、海外の学校の先生から「このオンラインミュージアムを授業で使いたい」という声も届いた。
核兵器を使うことへの解像度を上げてほしい
最後に、林田さんにオンラインミュージアムを観た人にどう感じてほしいかを聞いた。
「核兵器を使うことに対する解像度を上げてほしいと思っています。核兵器が存在している社会を作っているのは私たち。第3の被爆地を作る側に回る可能性もある。
それを考えたことあるのか、自覚を持っているのか、を考えてほしい」
クラウドファンディングの掲載期間は2023年9月17日まで。世界中に原爆の恐ろしさを伝えるために挑戦を続けている。