絵を描く仕事をしている女性と昔なじみのおじさんのやりとりを描いた漫画がInstagramに投稿され、感動の声が集まっています。投稿には「優しさっていつか伝わっていくんですね…」「大好きだった祖父を思い出しました」「何十年も経って、おじいちゃんからのメッセージが届いたみたい」などのコメントが寄せられていました。
この漫画を描いたさざなみ(@sizuqphi)さんに話を聞きました。さざなみさんはSNSを中心にイラストレーターとして活動しています。
ある日、近所のおじさんに遭遇したさざなみさんは「仕事は何をしているのか」と質問されます。家でできる仕事はまだ高齢者に理解されないことが多かったさざなみさんは言葉を濁しますが、近所のおじさんは「絵を描く仕事か?」と言ってきました。伝えたことがなかったためなぜ知っているのか疑問に思っていると、厳しかった祖父が近所のおじさんにさざなみさんの絵について褒めていたことを知ったのでした。
ー近所のおじさんから絵の描く仕事をしていると当てられたときどう思いましたか?
とても驚きました。急いで過去の交流を思い返しても、絵を描くことが趣味だという話はおろか美術部に入っているという会話すらしたことがなかったと確信できたので。
ー祖父が絵を描いていることを褒めていたと聞いた時、どう思いましたか?
祖父から伝わっていた可能性には思い至らなかったので、なるほどと納得しました。今でも覚えているということは、それくらい何度も褒めていたのだろう、と想像して胸がじんわり温かくなりました。
ー祖父が生きていたころ、絵を描いていることについて何か言われたことはありましたか?
ものすごく褒められたというようなことはなかったのですが、私が絵を見せに行くといつも眼鏡を掛け直してじっくり見てくれました。題材の選び方や構図に、人とは違う工夫があると褒めてくれていました。
投稿には「家でひとりで絵を描く仕事について年配の方には説明しづらい」とありました。さざなみさんは「在宅で仕事をしている、と伝えると、年配の方ほど洋裁や内職などを想像されます。イラストを描くことを仕事にしているのは珍しい生業のようです。」と言います。職業を言うのを最初はためらっていたさざなみさんでしたが、近所のおじさんから「良かったな」と言われ嬉しかったようです。
愛情を届けてくれた
ー投稿にはたくさんコメントが寄せられていましたが、どう思われましたか?
時を越えて愛情を届けてくれたようだ、というコメントがあったように思います。私自身も、自分が亡くなった後にも誰かの心を温めるような何かをあちこちにそっと残していきたいな、と感じました。
ー現在は絵を描く仕事をされているとのことですが、具体的にどのような活動をされているのでしょうか?
イラストレーターとしてSNSを中心に活動しています。育児や趣味の読書に関するエッセイ漫画を描いたり、心がじんわりあたたまる作品を作りたいと思っています。雑誌への寄稿、出版物の挿絵などを担当させていただくこともあります。いつか、児童書の装画をするのが夢です。
自分が知らないところで褒めてくれるのは嬉しいですよね。愛情や優しさは時を越えて相手に伝わるでしょう。相手が喜ぶ言葉選びを心掛けたいですね。