ー退院後、ちょこちゃんに会うことができたときのことについて教えてください。また、ちょこちゃんの様子などもお伺いできればと思います。
退院の際は家族みんながちょこと私の再会に注目していました。何も知らないのはちょこだけでしたので。
ドアを開けた瞬間「ん???」という感じで私を凝視した後「キューン」という鳴き声がしばらく止まらず尻尾はお尻ごと飛んでいきそうなほどフリフリしていました。私の顔をぺろぺろしようと必死でしたがまだまだ感染対策が必要だったので、距離を保ちながらの再会でしたが、家族全員が心から幸せを感じる瞬間でした。この時ほど強く家族が一緒にいられるだけでいい、他に何もいらないと思えたことはなかったと思います。
ー骨髄移植の手術時、大変だったことはありましたか?
骨髄移植は移植前に自分の造血幹細胞を致死量ギリギリまでなくすための抗がん剤、放射線治療をします。そうしなければ、新しく頂くドナーさんの造血幹細胞を自分の細胞が追い払ってしまうので。白血球が0になるんですよ(笑)
ベッドの目の前に便器、洗面台がある2畳ほどの無菌室では目の前の便器に座るだけで心臓がバクバクで息切れ。便座でお腹に少し力を入れるだけで上からも出てきてしまうので同時進行で横を向いて洗面台にもたれかかる。食事は丸1ヶ月近く口から取れませんでした。そんな時でも毎日朝太陽がのぼってくると自然と涙が出てぜったい今日も生きるんだ!と自分に言い聞かせました。
清潔を保たなければいけないので熱がない限りは毎日無菌室のお風呂に入るのですが、腰のあたりをさすりながら「ドナーさん、ありがとうございます」と毎日感謝の気持ちを口にしていました。
ー骨髄移植をされて同じような状況の方に伝えたいことなどはございますか?
血液の病気は多岐にわたるので一言でまとめられるものではありませんが、医療は日々、信じられないほど進歩しています。どうかあきらめないでください。 献血やドナー登録の呼びかけをこれからもしていきます。気持ちを強く持ってください。絶対に諦めないでください。私からのお願いです。
ー今回の経験から多くの方に知ってほしいことなどはありますか?
この記事を読まれた大半の方はきっとこんな大変な思いをした人がいるんだ…という感想になると思います。2年半前までの私もそうでしょう。でも突然当事者になりました。夢の様でした。毎朝、夢じゃなかった…と思いました。
もし、あなたが少しでも興味を持ってくださったらぜひ献血に行ってください。年々、献血をする方が減っています。病気だけではなく、突然の事故でも輸血によって命が救われることがたくさんあります。骨髄バンクのドナーさんを待ちながら毎日病室で必死に生きている人たちが沢山います。のぞいてみていただけると嬉しいです。
現在は「家事や仕事をしながら家族の時間を大切に過ごしています」と語るチワワのちょこさん。骨髄移植をした経験を無駄にしないためにも、骨髄バンクのドナー登録を増やすことや献血への理解を広めたいと模索中だそう。
チワワのちょこさんの呼びかけには、実際に「息子がたくさんの輸血で助けていただきました」とコメントが寄せられていました。チワワのちょこさんの願いが、多くの人に届くことを願います。