母親の介護の様子を「親の介護はじめました」「20代、親を看取る。」というタイトルの漫画をInstagramで発信していたキクチ│片耳なんちょー(@kkc_ayn)さん。父と協力して脳腫瘍を患った母の介護をしながら、リアルな現状を発信していた投稿にはいいねが1万以上超え、毎回投稿に多くのコメントが押し寄せるなど話題になり、2023年5月に書籍化が決まっています。
今回投稿者であるキクチさんに話を聞きました。
介護の様子をInstagramで発信したきっかけ
ーInstagramでお母さまの介護について発信を始めたきっかけを教えてください。
日記のように思い出を記録するものとして描き始めたのですが、せっかく描くならSNSで公開するかと軽い気持ちで始めました。
ー漫画の投稿と介護、同時並行で進めていましたが大変なことはありましたか?
漫画を描く時間は介護の息抜きになりましたし、皆様のコメントが閉鎖的な介護の時間に広がりを持たせてくださったのでむしろ空き時間を見つければ積極的に描いていました。
SNSでの発信に父親の反応は
ーお父様はInstagramにアップすることについて何と言っていましたか?
漫画を公開してしばらくしてから父に伝えました。
応援のコメントがたくさんあることを伝えると「ありがたい」と喜んでいました。
ー漫画を読んでいて、キクチさん親子は介護に向き合い前向きに介護をしている印象で、本当に仲の良い家族だったんだなと感じました。お父さんや彼氏さんの支えもあり、介護を献身的に進めることができたのでしょうか?
前向きというよりは、仕事と向き合う気持ちに似ていると思います。どうしたら母が喜んでくれるか、心地よく過ごしてくれるか。その目的のために父と私がチームになって動く。その姿がもしかしたら前向きに見えたのかもしれません。
愛情とか家族のつながりとかはもちろん必要ですが、それだけで介護をするのは難しく「仕事」のように割り切るマインドがあって、献身的に進められたのかと思っています。
“リアルな発信”だからこそ
「父も私も介護の初心者なので自信を持てずにいましたが『こんなに献身的でお母様は幸せだと思います』というコメントが多くあり、介護中にとても救われました」
キクチさんの投稿には同じような境遇の方や、キクチさん親子に感銘を受けた方など、多くの方からコメントが寄せられています。
普段、デザイナーとして仕事をしているキクチさん。書籍の出版は「人生の中の一つの夢」だったようです。
「軽い気持ちで描き始めた日記が最終的に出版までつながるとは、人生なにが起こるかわからないなと感じました」
書籍では漫画の内容を一から書きおろしています。
同じような境遇の方に「無理をしないこと、後悔しないように…と気張りすぎないこと」を伝えたいと話すキクチさん。
リアルな発信だったからこそ、多くの共感を生むことができたのかもしれません。