体調が悪いのに、原因がわからない。
寝ても疲れがとれない、朝起きるのが辛い、常に身体が重く感じる。
もし、そんな慢性的な不調に悩まされているのなら、一度日常から離れたところで、自分自身とゆっくり向き合ってみてはいかがでしょうか。
香川県三木町には、こころと身体の専門家と過ごせるゲストハウスがあります。
日常から少し距離を置いて過ごしてみる
日常を過ごす場所から離れて、心身を癒し、整える過ごし方をリトリートといいます。
さぬきリトリート 繋安芯堂(けいあんしんどう)は、お寺を改装した宿泊施設で、2023年1月にオープンしました。
立ち上げたのは、これまで理学療法士やヨガインストラクターとして、第一線で活動してきた、赤山僚輔さん・中原亜美さん・宮崎祐一さんの3人。それぞれが得意分野で訪れた人をサポートしてくれます。
赤山さん(理学療法士・スポーツトレーナー)に、さぬきリトリートでの過ごし方について聞きました。
赤山さん:ヨガをしたり、瞑想をしたり、心を整えるようなセッションをしたり、その方に合わせてご提案しています。何もしないで滞在するのでもいいですよ。何もしなくてもいい、というのがピンとこない人も多いですけど、今は普段の生活でSNSだったりとか、人の雑踏だったりとか、情報で脳は疲れてるので、何もしないでボーッとするだけで脳が休まるんです。
リトリートには、どんな効果があるのでしょうか?
赤山さん:効果としては、具体的にその人が抱えている不調とか不安を解決すること。メンタルヘルスなら、コーチングやセッションといったアプローチで。体が物理的にしんどいのであれば、マッサージなども行います。
腰痛や肩こりだけでなく、例えば、頭痛、耳鳴り、めまい、動悸、花粉症、アレルギー、冷え、生理痛などは、全て解決できる事象だといいます。
赤山さん:僕は身体を診るのが専門。身体の状態を紐解いていくと、潜在的にこういう風にした方がいいっていうメッセージを身体が送っているんですよ。本人は気づいてない癖とか。それを汲み取ってあげて、自分自身を大事にするヒントや体験を持ち帰っていただくということが、リトリートのメリットですね。
顔つきとか目つきとかが、すごいクリアになって帰られる方も多いです。
既に「自分の中にあるもの」と静かに向き合う
さぬきリトリート 繋安芯堂は、木田郡三木町の自然が豊かで、静かな場所にあります。
使われなくなった寺の宿坊をなるべく元の姿のまま、必要なところだけを改装しました。
リトリートというと、南の島や旅館施設など、非日常の世界を楽しむご褒美のようなプランもありますが、さぬきリトリート 繋安芯堂は、まるで実家に帰ってきたかのような安心感があります。
赤山さん:きっと、みなさん一度は見たことのある景色だと思うんです。この中で感じる心の穏やかさは、外に取りにいかなくても、もう既に自分の中に持っているんですよ。
「誰かを支えている人」のサポートをする場所に
赤山さん自身がスポーツトレーナーを目指したきっかけは、学生時代に打ち込んでいたバスケで怪我や慢性的な痛みに悩まされ、満足にパフォーマンスを発揮できなかったことでした。
神戸で理学療法士として約7年勤務し、香川にUターンしてからは、女子バレー日本代表チームや県立高校の部活動などで、スポーツトレーナーとして活躍。時には海外に何か月も行くことがあり、香川にいるときはなるべく家族とゆっくり過ごしたいと思い、今の働き方を選びました。
赤山さん:生涯の志として、「全世界から慢性的な不調がなくなること」というのを10年ぐらい前から掲げて行動しています。
心の風邪は、こじらせるとやっかいなので、ちょっとささくれがあるくらいのうちに、早めにケアをしてほしいと思います。
今後は、リトリートをたくさんの人に知ってもらうことが課題。
現在は県外からの宿泊利用が多いとのことですが、香川県在住の人にも週末にゆっくり過ごしにきてほしいと話します。
赤山さん:誰かをいつも支えている人の、安心・安全と支えになれるような場所になれたらいいなと思います。
仕事や学校、子育てに介護など、“やらなければならない”に追われて、つい自分の不調は後回し……
いつの間にか、常にどこかの具合が悪いけれど、何が原因かもわからない。
そういう人にこそ、一度日常を離れる機会を作って、こころと身体のプロとともに自分と向き合うリトリートを体験してみてはいかがでしょうか。