強いくせ毛に悩む小学5年生の娘を持つTomoさんが、学校での出来事を書いたInstagram(@curucuru_wk)の投稿が、3万以上のいいねを集めて注目されている。今はくせ毛を生かす方法を知り楽しんでいるが、周りの声や社会に疑問を感じることもあるという。くせ毛を生かそうと思ったきっかけや発信する理由などを、Tomoさん親子に聞いた。
周りの言葉にもやっとした
小さい頃からくせ毛で、母親のTomoさんは柔らかくふわふわの髪を「いいくせ毛」だと思っていた。しかし、成長とともにしっかりとした髪質になっていき、ゴワゴワして広がるので、常にきつく結ぶようになった。
学校の友だちからは「髪の毛、ちゃんと梳いたら?」と言われたこともある。Tomoさんも母親同士の会話で、子どものくせ毛に悩んでいることを話すと「もっと時間かけてブローしたらなんとかなるよ」と言われ、「私の努力が足りないせい?」と、もやもやしたことも。
そんなある日、娘の友人の姉がくせ毛に縮毛矯正をかけて、サラサラの髪に大変身。それを見て「私もやりたい!」と、縮毛矯正をかけるのを目標に髪を伸ばし始めた。
くせ毛を生かしてくれる美容師に出会う
そこでTomoさんが「縮毛矯正」で検索すると、縮毛矯正と「脱・縮毛矯正」という、まったく正反対の情報が出てきた。縮毛矯正のことを娘に説明するとともに「ちなみに、こんなのもあったよ」と、くせ毛を生かしている人の情報も見せてみた。
「娘は『なにこれ、すごい!こんな感じにできるんだったら、自分の髪のままがいい!』と興奮していました。それで縮毛矯正をかけるのはやめて、くせ毛のままでいることにしたんです」
それから、くせ毛を生かしてくれる美容院を探し、近隣の美容師数名に写真とともにメッセージを送った。
「ある美容師さんから『こんなに広がって固い髪は、カットだけでどうにかするのは無理』と言われました。ショックでしたね」
しかし、諦めずに美容師を探すと「誠心誠意やらせてもらいたい」と返事をくれる人が現れた。くせ毛専門の美容師というわけではなかったが、やり取りから誠実さを感じ、お願いすることに。
当日、行ってみるとたくさんの写真を用意してくれていた。娘のために準備して考えてくれたのだ。娘が「もっとショートがいい!」と言っても、嫌な顔をせず、どうしたらできるかを考えてくれたという。
「美容院に行ってもくせを抑えることしか考えられなかったり、縮毛矯正を勧められたりして、こんな風に考えてくれた人がはじめてで感動しました。結果、カットだけですごくきれいになって、私も娘も本当にうれしかったんです。あまりにうれしくて、娘に悟られないように泣いてしまいました」
学校でのやり取りに多くの反響が
カット以外にも、インターネットで見たくせ毛を生かす方法を実践。「くせ毛は生かせる」ことを知ったが、どれだけ調べても小学生の情報は出てこなかった。
「子どものくせ毛で悩んでいる親御さんはたくさんいるはずなのに、なんでだろう?と疑問に思いました。『じゃあ、私たちが発信しよう!』と、2022年8月からインスタを始めたんです」
くせ毛を生かすビフォーアフター動画などを投稿し始め、多くの母親たちからメッセージをもらうようになったという。
そして、学校での個人懇談の出来事を投稿すると、3万いいねを超える多くの反響が集まった。「髪について、心配なら中学校への引継ぎに書いておけますよ」と言われた話だ。
「小学校はいい先生ばかりで、今まで髪のことで嫌な思いをしたことはありません。引継ぎのことも、娘を思って言ってくれたんです。でも、くせ毛は生まれ持った性質なのに、注意するものとして扱われることに疑問を感じてしまって」
投稿には多くのコメントが寄せられた。「先生から注意されたことがある」「地毛証明書を出したのに怒られた」など、自身の辛い経験を綴る人で溢れた。
「こんなにも多くの方が苦しい経験を持っているんだと驚きました。中には現役高校生からの声もあり、校則が時代の変化に追いついていないことを感じましたね」
娘も、時には髪についてからかわれることもある。それでも気にせずにいられるのは、自分の髪を肯定的に受け入れられているからではないか、とTomoさんは語る。
「自分のくせ毛をどう受け取るかは環境次第な部分も大きいと思います。親や周りが『くせ毛は悪い』『縮毛矯正しか選択肢がない』みたいに言っていると、そういう意識が刷り込まれてしまいます。そうではなく、くせ毛は生かせる、そのままの髪がかわいいんだよと、小さいうちからポジティブに言ってあげてほしいですね」
以前は自分の髪が嫌いだった娘も、今は「この髪が好き!」と堂々と言えるようになった。「今後もくせ毛で悩んでいる人に届けたい」と、Tomoさん親子は前向きに語った。