あなたもきっとどこかで見たことがある、そんな折り紙がTwitterでいいね16.5万超の反響を集めています。『十数年ぶりに折り紙を買って遊んだ テーマは「杜撰な生活」 (一部の人しかわからないと思う)』と投稿された4枚の画像。シンプルな白色の紙に折り目がつけられて、「再現度高すぎて草」「全部遭遇したことある。」「既視感がスゴい」と、その形状に身に覚えがある人が続出しています。投稿者の発明家/プロダクトデザイナーのもにゃゐずみさん(@Monyaizumi)に話を聞きました。
―折り紙で「杜撰(ずさん)な生活」をテーマに選んだ理由は何でしょうか。
確か、きっかけは「ひさしぶりに折り紙をしたいな」というシンプルな思いからでした。むかしから説明通りに折っていく作業が退屈で苦手でした。面倒な工程を経た末に同じものが出来上がるのも個人的には納得がいきませんでした。 「大人になったいまだからこそ、1から自分で考えたテーマと手法で何かを折ってやろう」と思い、身の回りで見かける紙の形態に着目しました。
―制作時間はどのくらいですか。
何せ2年前のことなので、はっきりとは覚えていませんが、、『かばんの底から出てくる謎の紙』『とりあえずノートに挟んだプリント』は、なかなか形に納得がいかず何度も折り直したので、それぞれ2、3時間かかったかもしれません。
―苦労・工夫したところや「ここはこだわった」というところはありますか。
どれも、極限まで「綺麗に折らなければ」という折り紙の理性を捨てるまで時間がかかりました。理性が残っていると中途半端に整った形ができてクオリティが下がります。
―反響についてどう思われますか。
抽象表現でありながら強く共感が得られたのが興味深く、折り紙の可能性を感じました。
普段の制作でモチーフを選ぶ際には「基本的に実体験ををもとにすることが多い」というもにゃゐずみさん。今までに一番大変だった・お気に入りの作品は、資料を入れると「あの絶望感」を疑似体験できるクリアファイル『フリーズファイル』だそうです。
「PCにて『応答なし』になった際の、白くモヤがかかった状況をクリアファイルの半透明さに転換した文具作品です。はじめてみなさんの手元に直接届けることに挑戦した作品でもあり、思い入れが強いです」
―今後も大切にしていきたいことや挑戦したいことはありますか。
今回の取材いただいた折り紙作品のような、“日常でみんなが体験している事象や何気なく目にする風景を共感値高く抽象化する”表現は、活動のひとつとしてさらに模索していきたいと思っています。
こうした表現に惹かれる理由は、なにかを抽象化していく過程で「そのものに対して世間の人々が何を連想するのか、直感的に何を感じているか」などの核たる要素のみを抽出することができ、結果的にこれに成功すると、そのものをそのまま見るよりもさらに“共感濃度”が高い異様なものが生まれるためです。
これからも自らの個人的な実体験を作品として昇華し、それがみんなの強い共感を通して『気づき』や『驚き』を生んでいけるととても幸せです。