全国ツアー公演中の劇団四季ファミリーミュージカル『人間になりたがった猫』。アメリカの児童文学作家ロイド・アリグザンダーの同名小説を舞台化したもので、望みが叶い人間になった猫ライオネルと、町人との心の触れ合いを描いた作品です。
主人公の猫・ライオネル役のひとり、森田一輝さんは、2019年にファミリーミュージカル『はだかの王様』で初舞台を踏み、これまでに『コーラスライン』のマイク、『キャッツ』のマンゴジェリーを演じています。「ライオネルを演じるのは子どものころからの夢だった」と話す森田さんに、この作品の見どころや公演にかける思いを取材しました。
森田さんに聞く作品の見どころは
望みが叶い、2日間だけ人間の姿になった猫・ライオネルの冒険を描くこの作品の魅力は、パワフルなダンス、心に訴えかける歌、舞台セット、個性豊かなキャラクターなどです。ファミリーミュージカルは、2歳以下の子どもも鑑賞可能で、子どもから大人まで家族で楽しめます。
森田さんに、オススメのシーンを尋ねました。
まず一つ目は冒頭のライオネルが登場するシーン。現在はコロナ禍のため、観客との声を出しての交流はありませんが、ライオネルの呼びかけに対して、観客は表情で返すことができる、声を出さなくても同じ空間で生の交流ができる、互いに一体感を感じられるシーンだと話します。
次は「すてきな友達」を歌うシーン。会場いっぱいに美しいコーラスが響き渡るとのこと。この歌には、作品のテーマでもある”命や仲間の大切さ”というメッセージが込められています。
そして、作品全体を通しての、ライオネルの仕草や立ち居振る舞いにも注目してほしいと、森田さんは話します。
猫らしさを表現するために、歩く時も走る時も飛ぶ時も、必ずつま先が伸びるように意識したり、肩甲骨の柔らかさを生かすなど柔軟性のある動きを取り入れたりしています。
そして、ライオネルは人間に“憧れ”を持つ猫であることから、好きだけでは終われない“憧れ”の気持ちを、身体全体を使って表現しているそうです。
たくさんの人に夢や感動を届けたい
小学校4年生のころ、地元愛媛県の学校行事で『人間になりたがった猫』を観劇した森田さん。とても感動して作品の魅力に引き込まれ、「絶対にあの青い靴を履いている猫(ライオネル)の役をやりたい」と胸に誓ったそうです。その後努力を重ね、劇団四季に入団。今回長年の夢であったライオネル役を演じることになりました。
「この役を演じることができて本当に幸せに思います。子どものころに作品を通して夢や感動をいただいたように、今度は自分自身が多くの人に作品の感動を届けられたらなと思います」
当初この作品は、2020年に全国ツアー公演が予定されていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大により全公演を中止。そして2022年9月、2年越しでようやく全国ツアーをスタートすることができました。
この作品は、ライオネルがいろいろな場所で出会う人たちとの交流を通して成長する物語です。自身も、さまざまな土地を巡っていろいろな人に出会うことが大好きだという森田さんも、全国各地のたくさんの人に感動を届けたいと、意気込んでいます。
「全国をまわって公演が出来ることに感謝しています。この作品は、心がジーンと温まるミュージカル。ぜひ、一人でも多くのお客様に劇場に足を運んでいただき、作品を楽しんでもらいたいです。そして、かつての自分のように、『この作品に出たい』『この役をやりたい』と思ってくれる人がいたら、それはとても嬉しいですね」
劇団四季ファミリーミュージカル『人間になりたがった猫』の全国ツアー公演は、9月まで行われる予定です。
香川県では、2月18日にサクラ―トたどつ(多度津町)、2月19日にレクザムホール(高松市)で、岡山県では、3月25日に岡山市民会館(岡山市)で公演予定です。