岡山県岡山市の過疎地域で11月20日、朝市のイベントが開かれ、町内外から約2300人が訪れました。開催場所は、もともと空き家があった場所。そこが地域の広場になり、多くの人が集まるイベントを開くまでになった経緯とは。「カモメ朝市」実行委員長の、山本誠さん(41)に話を聞きました。
高齢者と若手有志がタッグを組む
カモメ朝市が開かれたのは、岡山市南区阿津の「阿津ひだまりの里広場」です。地元の野菜や魚などの販売に加えて、県内の有名飲食店や企業などもブースを出し、あわせて35の出店でにぎわいました。また、岡山南高校吹奏楽部による演奏も、会場を盛り上げました。
実行委員長の山本さんは、この広場がある小串学区の出身です。山本さんによると、この地域は過疎化が進み、高齢者の増加、空き家の増加、地域のつながりの希薄化など、数々の課題を抱えているといいます。
「僕らのとき、小学校は1クラスだけだったんですけど、30人ぐらいいたんですよ。でも今は小串小学校の全校生徒で21人。明らかに子供の数が少なくなっていますし、子ども会とかもなくなっているので」
このような課題を感じるなか、連合町内会長と知り合いになり、町おこしをしようと意気投合。地元のボランティアや若手有志と一緒に2021年11月に初開催したのが、カモメ朝市です。
開催場所の「阿津ひだまりの里広場」も、もともとは空き家があった場所。連合町内会長を中心とした地元民が立ち上がり、地権者の同意を経て空き家を解体し、地域の広場として使えるようにしたものです。
広場は学区の防災訓練などにも使用され、そこで80歳近い人たちがボランティアとして活躍する姿を目の当たりにした山本さんは、若手メンバーにも何か手伝いができないかと思案。
その中で、かつて近くにあった国民宿舎で「30年ほど前に開かれていた朝市イベントを復活させたい」という話を聞き、広場を使った朝市イベントの企画につながったということです。
「地元の70代80代のおじいちゃんおばあちゃんたちと、僕ら世代の同級生や後輩を集めて、それで実行委員会を作ってやっているんです。地元愛があるメンバーばかりです」
最初は備品も金もなく、地元企業や有志からの協賛で何とかスタートしたというカモメ朝市。2回目からは岡山市の区づくり推進事業にも選ばれ、3回目の今回は、実行委員会のメンバーも出店数も、1回目の2倍にまで増えました。
2300人という来場者数も、1回目の2倍以上。町内外から多くの人が訪れるようになってきたことで、多くの人を呼び込む学区の新しい恒例行事として、着実に根付いてきています。
「地域活性化が目的なので、この小串学区に人を呼び込む。可能であればここに住んでいただけるような街づくりを少しずつしていけたらな、その一部にでも貢献できたらなと思っています」
カモメ朝市は今後も、たくさんのカモメが飛来する11月から4月までの期間に年2回ずつ、開催される予定です。次回の開催は、2023年3月を予定しています。