食い込み、ズレ上がり、ハミ肉、かゆみ、お腹への圧迫。女性たちが感じてきたショーツに関する様々なストレスをオフにしようと、締め付けない構造、履き心地の良さに徹底的にこだわったショーツを愛媛県の会社が開発した。そして今、口コミを中心に人気を広げている。
うぶぱんはこんなショーツ
ママ・チョイス株式会社(愛媛県松山市)が開発した「うぶぱん」は、代表の西井紀代子さんと開発チームのママたちが、「妊婦さんにやさしいショーツを作りたい」との思いを持ち、デザインから素材選定までこだわり抜いて開発した、オリジナル商品だ。
一つ目の特徴は、ウエスト、鼠蹊部、内股の締め付けを、徹底的に排除したつくり。「とても軽くてふんわりした不思議な履き心地」という口コミも寄せられている。
二つ目の特徴は、こだわりの素材。赤ちゃんの肌着に使用するダブルガーゼという綿100%の生地を使い、通気性を格段にアップさせた。しかし、綿100%の生地は伸縮性がなく、しゃがんだときにおしりがつっぱったり、布がおしりにはさまったりしてしまう。そこで工夫を重ね、後ろに縫い込んだギャザーを調整することで、履き心地にも徹底的にこだわった。アトピーや敏感肌の女性からも「着心地が良い」との声が届いているという。
三つ目の特徴は、豊富なカラーバリエーションと、ブルマのようなかわいらしいデザイン。「履いたらウキウキするショーツを作りたい」という紀代子さんのこだわりが感じられる。
自分たちが本当に欲しい商品を売りたい
そもそもママ・チョイスは、お腹の大きな妊婦さんの骨盤を支える「トコちゃんベルト」など、妊婦さんやママ向けの様々なグッズを取り扱う、インターネットによる通信販売の事業を展開していた。
しかし、価格競争の激しい業界の中で、次第に売上に伸び悩む時期を迎え、方向転換を図る。同じ商品を売るなら、自分たちが本当に欲しい商品を売りたい、という思いから、オリジナル商品の開発へと踏み切った。
「自分が欲しいということは、みんなも欲しいに違いない、って思っているんです(笑)」(西井さん)
普通の妊婦さん向けのショーツは、お腹の上にゴムがくるため、大きく迫り出したお腹を締め付けてしまう。そこで、ゴムがお腹の下にくるローライズを採用し、紀代子さん手作りの試作品第1号が完成した。
そこから、開発チームの女性たちが試着を重ね、彼女たちの意見を取り入れながら改良。20パターン以上の試作品を作り、開発から3年が経過した2020年5月、ついに販売開始へとこぎつけた。
そしてその年、地元松山のブランドコンテストNEXTONE(2020年)で、最優秀の金賞(県知事賞)を受賞。
クラウドファンディングでの先行販売は、目標金額を大きく上回り、予想以上の売れ行きとなった。
現在では実店舗の販売も少しずつ増えてきている。うぶぱん発売から2年半が経った2022年9月現在、直近3か月の販売枚数は、発売当初の倍以上となり、地道な口コミから多くの女性たちの心を確実に掴んできたことがうかがえる。
ゆくゆくは地元・松山の名産品としてもアピールできたら、という思いから、地元の雑貨店などでの販売も始まった。
今後の展開として「娘とお揃いで履きたい」という顧客の声から、子ども用うぶぱんの開発を進めているという。