バスや電車に乗っているとき、子どもが泣いているところに遭遇したことはありますか。なんとかしてあげたいと思っても、多くの場合はそっと見守るしかないものです。そんななか、昔Twitterで見たあることを試したら、見事に泣き止んだという出来事を漫画にしたのが、こや(@illkoya)さんです。
こやさんは、普段は会社員として働き、フリーの漫画家兼イラストレーターとして活動しています。ギャグ漫画や今回のような体験をレポート漫画として描くことが多いそうです。
ツイートしたのは、会社から帰宅中の時の出来事でした。いつものようにバスに乗っていると、大きな声で泣いている3~4歳くらいの女の子とその父親が乗ってきて、こやさんの通路をはさんで向かいに座りました。
平日の夜のため、バスの車内にはサラリーマン、学生、高齢者の乗客が多く、子連れで利用している人は他にいませんでした。ただ、人の多い時間帯で車内は満員。乗客のほとんどが大声で泣いてる女の子を見ていたといいます。
そんなとき、「車内で泣いている子どもにはシールをあげるといい」というツイートを昔見たことを思い出します。そこでたまたま持っていたちいかわのステッカーを、勇気を出して女の子にあげたところ、(ツイートで見た通り)見事に泣き止んだというエピソードです。
「これあげる」と言うのは、とても勇気がいったのではないでしょうか。
「正直『泣き止まないどころか、知らない人を怖がって悪化させたらどうしよう』という思いはありました。しかしながら、描写しきれていないのですが、私がiPadを取り出してステッカーを取ろうとしているところを、泣きながらも興味ありげにじっと見ていたので、『たぶんいけるな!』と思って行動に移した次第です」
ちいかわのステッカーをもらった女の子はというと、本当に、びっくりするほどすぐに泣き止んだそうです。「私の方がびっくりしてしまって、ずっと動悸がしていました」と、こやさんは振り返ります。
女の子は、「シールもらったね!」と父親の胸にバンバンシールをぶつけて、父親は「(シールが)折れちゃう!!」と慌てていたそう。とても微笑ましい光景ですね。
今回のツイートには「シール買って持ち歩きます」「いざって時に用意しておこう」などのコメントが集まっています。このことについてこやさんは、
「私はたまたま運が良く、子どもは泣き止んでくれて、お父さんにも嫌な顔はされませんでした。もしかしたら、少し違うと、違う結果になっていて、『泣いてる子どもなんか絶対もう声をかけないぞ!』と思うような展開になっていたかもしれません。私は『多少失敗してもすぐ立ち直るな』と思ったからしましたが、傷つきやすい人や、落ち込みやすい人は無理にやらなくて大丈夫だと思います」と伝えたいということです。
また、もう1つ伝えたい事として、
「私はあの女の子が泣き止んで、お父さんや乗客がホッとしているのを見た時、『わたしは今日この時のためにバス通勤で、この子にあげるためにiPadにちいかわのシール入れてたんだな』とまで思ったので、それだけ共有したいですね」と話してくれました。
誰かのために行動することは本当に勇気がいります。自分の心に余裕がある時、偶然にも子どもが泣いている場面に直面した時のために、筆者もこっそりシールを持ち歩きたいと思いました。