精神科医kagshunさんが語る「ストレスの定義」とは メタバース上で子ども向けに授業

精神科医kagshunさんが語る「ストレスの定義」とは メタバース上で子ども向けに授業
アバターで登場した精神科医のkagshunさん(右)とニンジャ寺子屋のさちこバナナ校長(左)

精神科医で、音声メディア「Voicy」でパーソナリティとしても活動する、kagshun(かぐしゅん)さんが、メタバース(オンラインの仮想空間)上で開かれた無料授業で、子どもたちに向けて「ストレスってなんだろう?」という授業を行いました。

ストレスとは何なのか、ストレスがかかるとどんなシグナルが出るのかなどを解説したkagshunさんの授業は、大人にとっても必聴でした。

ストレスは、人類の本能に記憶されてきた危機回避能力

授業は、Ninja DAOが運営するメタバース内の学校、「ニンジャ寺子屋」で行われたものです。参加者は、アバターと呼ばれる分身でニンジャ寺子屋に集合。先生も、もちろんアバターで登場しました。

会場に集ま…くる参加者
会場に集ま…くる参加者

kagshunさんはまず、「ストレスは、自分にとって辛いことかどうか、嫌な事かどうかは関係がない」と驚きの発言をします。

kagshunさんによると、ストレスの定義は「身体のバランスを崩すもの」とのこと。例えば、食べることや食べないこと、座ることや立つこと……これらは全て今まで保っていた身体のバランスを変えるものですが、身体は無意識のうちに対応しながら生活しています。 

ここで想像してほしいと話したのが、10万年前の人類。今のような文明はありません。この頃生きていた人類にストレスはなかったのでしょうか?

野生動物に襲われるリスク、未知のウイルスと遭遇して自分たちが絶滅するリスク、食べ物が確保できるかどうかの不安……たくさんあったはずだと言います。

あまりにも非力な存在だからこそ、目の前の危険に集中し、意識するまでもなく瞬間的に反応して、将来また同じ目に遭わないように、本能に記憶してきた仕組みがストレスだと話しました。

ストレスとうまく付き合うには「適度な負荷」が重要

現代の私たちにとって、ストレスを感じる原因は人それぞれ。日常的な人間関係にイライラしたり、仕事や勉強がうまくいかなかったり、身体的なバランスを崩す以外にも、精神的な原因は無数にあります。

眠いのに仕事しないといけなかったり、嫌いな科目の授業を我慢して受けたりすることもストレスです。 

kagshunさんは「日常の中にあるストレスが少しずつ身体内に蓄積されて、一定の量を超えると身体はアラートを出してくる」と話します。

アラートは色々。疲れが取れない、よく眠れない、食欲がない、やる気が起こらない、腹痛や頭痛が続く……人それぞれです。この段階で、ストレスが解消できれば問題ありません。しかしアラートを無視し続ければ、病気リスクの上昇やうつ病になるなど、大きく健康を損なうことになるのです。 

ストレスは怖いもののように聞こえますが「恐れることはない」とkagshunさん。誰でも少しずつ耐性を強くしていくことは可能だと言います。「乗り越えられるレベルのストレスを適切に与え、クリアしていくことで少しずつ以前よりは強くなれるので過度に恐れないでほしい」とのことでした。

そして最後は、挫折や失敗を乗り越えた経験などが私たちを強くしていくものの、本当につらいときには一度ストレスの原因から離れるなど、無理しない範囲で向き合ってほしいと、授業を締めくくりました。 

授業後の記念撮影
授業後の記念撮影

日々忙しく生きる私たちにとって、ストレスは切っても切れない関係。ストレスの正体を知り、うまく向き合っていく方法を知ることは現代を生きるためには欠かせないスキルです。

参加した子どもたちは、たくさんのヒントをつかむことができたのではないでしょうか。

ニンジャ寺子屋ではこのほかにも、漫画、3Dアート、音楽、歴史、お金の勉強など、ジャンルを問わず多様な授業が開催されています。

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