「20年後の自分への手紙」が感動すると、Twitter上で話題になっています。この手紙は、今、小さい子どもを育てている母親が「20年後、子どもが大きくなった時に自分は小さい時の子どもに会いたいのではないか」と考えたことをきっかけに、今の子どもとの日常を水彩画で丁寧に綴っているものです。
この水彩画の手紙を描いたのは、水彩作家のyukkoさん（@yukko_96）です。yukkoさんは、都内で4歳と1歳の息子たちを育てながら、子育て中の「忘れたくない瞬間」をテーマにしたイラストエッセイを綴っています。
元々絵が好きだったyukkoさん。「子育て中に見つけたクスっと笑える瞬間や愛しいと感じた瞬間を残したい」という気持ちがきっかけになり、このような水彩画を描きはじめたそうです。
今回の「20年後の自分への手紙」の水彩画を描いたきっかけは、「20年後の自分が今日にタイムスリップできたら小さかった子どもに会いたい」という、他の人のツイートを見たことがきっかけになりました。
「子育てしていると毎日慌ただしくて、日記をつけることも忘れるほどあっという間に時間が過ぎてしまう。気づくと子どもはどんどん大きくなって、成長が嬉しい反面、宇宙語を話してた息子、テトテトと一歩ずつ歩いていた息子にはもう会えないと思うと、ある種の『切なさ』を感じました」
「いつか、この何でもない日々を愛おしく思うのだろう」
そう思ったyukkoさん、「そんな未来の自分に息子たちと過ごす時間をお裾分けしたくて、手紙とエッセイを書きました」と話します。
子どもと2人で散歩に出かけたときのこと。カーテンでかくれんぼしているときのこと。水彩画に描かれてある日常は、実際にあったことだそうです。
「ハレの日は、写真に残っていることが多いですよね。家の近くを手を繋いで歩いたことは日常すぎて写真にも残していないことが多いです。そんな日記にも残らないような何でもない日こそ愛おしく思うんだと思います、そしてそれは20年後も一緒です」
yukkoさんの水彩画は、言葉よりも多くの事を物語っているように感じます。
「水彩画の滲みは、光のようなその光景の美しさを表現してくれます。ハッキリと色を塗るイラストと異なり、いつの間にか消えていくような儚さも表現してくれるように感じます」
「『触り心地ってどうして写真に残せないんだろう』と感じることもあります。そんなとき、子どもの肌の柔らかさ、透明感も表現している気がします」
子育てを楽しんで、息子を可愛いと思えているのは、yukkoさんが特別愛情深いや努力しているわけではなく、「自分の命を維持するための睡眠が確保されてて、息子たちの安全を複数人で確保できてて、不満や不安を共有できて認められてるから」と思っているそうです。水彩画を描いている事についても、「水彩画は家族との共作であると感じている」と話します。
「家事育児は本当に大変なので、それが確保されていなかったら誰だって追い詰められてしまいます。だから丁寧に子どもと向き合うことができていないと思う方がいたとしたら、決して自分を責めずにいてほしいと思います」
yukkoさんのこの水彩画には、多くのコメントが寄せられています。
「先月生まれた娘の世話で毎日必死な私。2歳の長男が落ち着きなく部屋を走り回ったり授乳中に、おんぶ！と背中や肩に乗ってくるのを許せずイライラしてしまった今日。今を大切にしないと後悔する…と寝ている子供達の隣でこの記事をよんで泣いている今。明日も頑張れそうです。ありがとうございました」
「涙が出ました。今年で24歳の息子が2週間前に結婚式を挙げました。1歳の頃の息子を思い出しました。ワタシの手を握っていた小さな手は大きくなり素敵なお嫁さんの手をしっかり握っていました。時の流れはあっという間ですね」
「もし、この水彩画を見てくださった方の心に届いて、波紋が広がるように大切な時間を思い出すきっかけになったとしたら、それは私のとって驚きであり、とても幸せなことです」と話すyukkoさん。
この手紙は、忙しい毎日の中で、忘れてしまいそうになる何でもない日常の大切さを教えてくれました。