音楽活動を行う傍ら、左官職人としても働いている南口さん(@minamiguchiERI)。4歳の娘との2人暮らしです。先日、突然の火事で家が全焼し、住む場所も車も楽器も仕事道具も失ってしまいました。そこに近所の住民や、火事のことをSNSで知った見ず知らずの人たちが、救いの手を差し伸べています。
自身で音楽の演奏活動をしながら、子ども向けに楽器を作ったり、演奏をしたりするワークショップを開催し、もう1つの仕事として左官職人としても働いている南口さん。住まいは、今年引っ越したばかりで、空き家バンクで見つけた古民家に住んでいました。子どもがのびのび遊びまわれる場所を求めての引っ越しでした。
8月11日のこと、家で以前開催したイベントのプレミア公開を配信していました。パッと停電になり、「何事!?」と思って外を見ると、家の隣にある小さな小屋が燃えていたそうです。その小屋の漏電が出火の原因でした。真っ暗の中、すぐに娘を連れて外に避難し、消防に連絡したそうです。
「消防車が『10分で着く』と言ってくれたので、10分では燃えうつらないと思っていました。でも、その10分の間に屋根づたいにどんどん燃え移って全焼してしまいました」
引っ越したばかりの家を突然失った南口さん。しかし、「人に支えられた」と何度も話します。
「(家が燃えた)時は、消防団の方が5~60人も集まってくれたので、村中のおばあちゃん達が集まって、2升炊きの炊飯器で炊いたお米でおにぎりを何百個も作ってくれました。団結力がすごかったです。今後の瓦礫の片付けも村中の人が集まって手伝ってくれるという話をしてくれて、本当にありがたいです」
火事のあとは、すぐに近隣の人が公民館に避難させてくれ、町営住宅を手配してくれました。半年は、無料で住めることになったといいます。
「車も全て燃えてしまったのですが、近所のおじちゃんが使っていない車をくれました。修理をするのにお金はかかるんですけど、ないと仕事柄困るので助かりました」
このほかにも、食器や鍋などの日用品を近所の人に譲ってもらったという南口さん。しかし近所の人もなかなか手助けできないのが、音楽活動に使う楽器や機材です。そこで、楽器を譲ってもらえる人がいないか、Twitterで投げかけてみたところ、予想以上の反響が。
「うぉぉ!!こりゃアカン!今手元にないからいろいろ当たってみるわ!!」「ギターでよければ差し上げます」「カホン、ハーモニカ、ソプラノウクレレ、ボンゴなら譲れます」など、温かいコメントが多数寄せられたのです。
「知り合いは(火事を知って)連絡をくれましたが、全然知らない人がそういう風に言ってくださるのは本当にありがたいな。と思いました。中には『グランドピアノあります』って言ってくださる人もいてさすがに無理ですとなりましたが、本当にありがたいです」
実際に、手元に届いている楽器もあるそうです。
このほか、左官職人としての仕事道具も焼けてしまいました。特殊な道具で、道具を作る人の数も減っていることもあり、手に入りにくいそうです。
今後、道具をどうするかは検討中だそうですが、小さい町ということもあり、近所に伝わるのもはやく、家が火事になったことを知った近くの建築関係の方が左官の仕事をまわしてくれるという事があったそうです。「そういう事もあるので、前に進んでいけます」と南口さんは話していました。
家は燃えてしまったものの、「本当にこの場所に引っ越してよかったと思っている」と話す南口さん。お金はないものの、「いつかこの場所に家を建てて住み続けられたらいいな」と考えているそうです。
また、ツイートされた画像では、焼け跡の前でひょうきんな顔をしている娘さんですが、「応えていないのか、まだ分かっていないのかもしれません」ということでした。
最後に、Twitterでリプをくれた人や支えてくれた住民の人へ伝えたいことを聞きました。
「もう本当に感謝するしかないんです。これからお返ししていくしかないんですけど、誰かが何か同じようなことになった時、私も同じように動けたらいいな。と思っています」