コロナ禍で夏の風物詩である花火大会が、昨年、一昨年と軒並み中止となった。今年は復活の兆しが見られるものの、花火大会(打ち上げ花火)は我慢し、家庭で花火(おもちゃ花火)を楽しみたいという人も多いだろう。そこで、家族や友人同士で楽しめるおもちゃ花火の意外な豆知識を、花火メーカーに聞いた。
コロナ禍でも売上げアップ
1937年創業の若松屋(愛知県西尾市)は、花火の製造から販売、さらに打ち上げも行う老舗花火店だ。広報担当の竹内直紀さんによると、コロナ禍でもおもちゃ花火に関しては、約10%売上げがアップしているという。
購入者からは、「花火大会が中止になった影響で、夏休みの課題としてだされる絵日記に、その場面が描けなくなってしまった。その代わりとして、庭でおもちゃ花火を複数回実施した」といった声が寄せられているそうだ。
ススキ花火は先端をちぎってから使用
おもちゃ花火としてよく見かける「ススキ花火」。これは、細長い筒状の紙管に火薬を入れ、竹の棒などに紙で巻き付けた花火だ。
この花火で遊ぶ際に、先端部分で火が消えてしまい、「湿気っているのかな?」と思ったことがある人も多いはず。
実は、この花火は先端をちぎってから火をつけるのがポイント。湿気っていると思い、捨ててしまうのは勿体ない。
おもちゃ花火には使用期限がない
竹内さんは、「おもちゃ花火のパッケージには、使用期限の記載が一切ない。記載がない理由は、おもちゃ花火には使用期限がないため」と話す。
また、「正しく保管をすれば10年経っても遊べてしまう」と語る(※)。なぜなら、花火で使われている火薬は経時劣化を起こしにくく、10年経過しても品質を保てるからだという。ただし、火薬は湿気に弱いため、正しい保管方法を心がけることが大切だ。
※製造物責任法では、流通から10年以上経った製造物は、製造業者等に損害賠償請求ができないので注意が必要(消滅時効)
竹内さんは「極端に湿気の多い場所を避けて、通気性の良い場所に保管してください。できれば、新聞紙に包んで紙袋に入れて、乾燥剤などと一緒に保管することで湿気ってしまうことが防げる」とアドバイスする。
実は秋がベストシーズン!?
一般的におもちゃ花火の販売時期は、ゴールデンウィークからお盆明けまで。しかし竹内さんは「涼しくなって、虫も少なくなり、日が沈むのも早くなる秋が、むしろ花火のベストシーズンかも知れない」と話す。
使用期限がないので、たとえ、花火が余ってしまっても、無理に使い切る必要はない。夏に使い切らなかった花火は、秋に楽しめるよう、湿気を防いで保管しておいてはいかがだろうか。