「結婚したいけど出会いがない」と言う人たちはいつの時代も一定数います。新型コロナウイルスがまん延する前は、相手と会うことが基本となっていた婚活も、感染者が一気に増え始めた2020年春から大きな変化が起こりました。
仲人として結婚相談所を23年運営してきた、アーチ結婚相談室(大阪市)の代表・木村惠さんに取材し、コロナ禍による婚活スタイルの変化や、結婚相談所の利用者を増やそうと活動している内容について話を聞きました。
コロナ禍で激変した婚活スタイル
新型コロナウイルスの感染拡大により、初の緊急事態宣言が出た2020年春、婚活でも「相手に会うことができなくなった」と話す木村さん。
「結婚相談所のお見合いは、ホテルのティーラウンジなどで会うのが基本でした。でも、緊急事態宣言で街のカフェはもちろん、ホテルのティーラウンジまで全てが休業し、対面で相手に会えなくなりました」
オンラインの利用で大きく婚活スタイルが変わったといいます。
「登場したのがオンラインお見合いです。Zoomを使って相手とお見合いしますが、交通費やお茶代がかからず、時間も1時間未満。以前は出会いにくかった遠方地域の方同士のお見合いが増え、対面では1日に2~3件が限度のお見合いを4~5件と多くこなすことができるようになりました」
その後、何度かまん延防止や緊急事態宣言が出ましたが、対面のお見合いはアクリル板を介したテーブルや、マスク着用で現在も継続されています。
コロナ禍前は当たり前だった仲人による引き合わせ(当日、お互いのお見合い相手を引き合わせること)も、リスクを考えて接触を減らすためおこなっていません。
オンラインお見合いも一定数は継続的に行われ、確実にコロナ禍前と婚活スタイルが変化しています。
最新のツールは積極的に利用
木村さんは「おそらく、うちがどこよりも早くオンライン婚活パーティーをやったと思う」と話すように、コロナ禍でも出会いの場を構築できるような工夫に、先駆けて取り組んでいます。
2020年4月に始動させたリモート婚活パーティー「Remopa」は、Zoomを使ってオンライン上で会話し、出会いにつなげるというもの。他にも、Clubhouseが流行ったときにはいち早く利用し、婚活に関するトークセッションを行ったり、YouTubeで婚活のノウハウを配信したりしたこともありました。
また、近日中にオンライン上でアバターを使った婚活パーティーを行う予定があるなど、積極的に最新のツールを婚活に取り入れて、出会いの場を提供しようとしています。コロナ禍に関係なく出会いの場を提供できればいいという思いが、表れていると感じました。
「結婚したいのにできない」という人を減らしたい
また、木村さんは「首都圏地域では結婚相談所の利用は珍しくなくなってきているものの、関西ではまだまだ敷居が高い印象を持つ人が多い」と話します。
結婚相手との出会いについて聞かれたときに、首都圏であれば「結婚相談所で出会った」など気楽に話す人が増えている一方で、関西ではまだまだ「結婚相談所で出会いました」とオープンに話す人が少ない現状があるそうです。
木村さんがブログなどで積極的に情報発信をするのは、少しでも婚活のリアルを知って欲しいという思いからです。結婚相談所で婚活している人たちのリアルな活動や、どんな人がいるのかを知ってもらうことで、結婚相談所での活動を身近に感じてもらいたい。
そして、究極の目標はSDGsの「誰ひとり取り残さない」という言葉と同じように、「結婚したいのにできない人が少しでも減ってほしい」という思いです。
マッチングアプリなど、婚活ツールは他にもあります。しかし、少しでも、結婚相談所に対する認識が変わってくれたらという思いを胸に、木村さんは今日も情報を発信し続けています。