アニメーション映画「この世界の片隅に」の音楽を担当し、日本アカデミー賞優秀音楽賞などを受賞したことでも知られる音楽家・コトリンゴさんによるスペシャルコンサートが21日、岡山県奈義町で開催された。
コロナ禍での延期を経て開催されたコンサート
奈義町内のみならず、県外からもたくさんの来場者で賑わいをみせ、コンサートは、ピアノソロ曲「雨あがる」から始まった。
心地いい歌声とピアノ演奏、サックスやウッドベース、ドラムなどによる編成となっており、様々な楽器の音色を聴くことができたこともスペシャルコンサートならではだ。
その他、アニメーション映画「この世界の片隅に」のテーマ曲や、英語バージョンの『きらきら星』などが演奏された。
演奏中、足で音楽を刻んだり、音楽に乗って体を揺らしたりする観客の姿も見え、約2時間があっという間の公演だった。コンサートには小学生以上の子どももたくさん訪れていた。
演奏の合間のフリートークでは、コトリンゴさんの人柄が覗えるおっとりとした口調で話す姿を見ることができ、以前奈義町に訪れた、栗コーダーカルテットとビューティフルハミングバードの小池光子さんとのやり取りの話、コトリンゴさんの父が奈義町で子ども歌舞伎の写真を撮っていたことなど、奈義町ならではエピソードを聞くことができた。
コトリンゴさんが子どもたちに伝えたいこと
コンサート終演後、インタビューに応じてくれた。
トップクラスのアーティストを招き、地方に住んでいても高い文化レベルを知ることができるという地方創生推進事業で奈義町からオファーを受けた思いを聞くと「私でいいのか心配でした。でも、こういう機会がなかったら奈義町に来ることはなかったので、ありがたいです」と、コトリンゴさん。
5歳からピアノをはじめ、音楽好きの両親のもとで、音楽と関わりの多い環境で幼少期を過ごしたコトリンゴさんは、『子どもにとって、音楽は良いと思います』と話す。
「肩の力を抜いて音楽を楽しめたらいいと思います。聴く楽しみや演奏する楽しみを知ってほしいです。つらい時の救いにもなるし。いろんなコンサートに行っていろんなアーティストを観て、かっこいい!もてたい!と思って音楽を始めるのもいいですよね」
これから成長していく子どもたちに伝えたい言葉は、コトリンゴさん自身が経験し学んだことが教訓になっているという。
「好きなことを仕事にするのは大変なこともあります。自分は何が好きか、何をやりたいか、が大事だと思います。うまくいかないことがあっても修正できますし。失敗は恐れずに、嫌な気持ちを引きずらないように」
歌声や生み出す音楽だけでなく、話す言葉や声も魅力的に感じられた。