地元のニュースにも取り上げられ、毎日商品が完売する大人気店「HARUMAKI GALAXY(ハルマキギャラクシー)」。札幌市にある、北海道初の春巻き専門店です。2021年12月のオープン当初から客足が途絶えない人気の秘密と、店に対する思いを、ハルマキギャラクシーの管理責任者で、「就労継続支援 れのあ」の職員である千葉琴美さんに聞きました。
幼い頃の体験から人のために働ける仕事を
幼い頃から喘息を持っていたことから、よく夜間の病院にお世話になっていたという千葉さん。
そのとき、何度も通うことになってしまった病院の職員に優しくしてもらえたという経験から「人の役立つための仕事がしたい」と考え、地元の釧路で介護にまつわる専門学校に進学しました。
介護福祉士の資格を取得し、札幌の老人ホームに就職。人の笑顔を間近で見ることができる仕事にやりがいを感じながら働いていました。
多様性が理解される社会へ
4年ほど前から、縁があって就労支援の仕事にかかわるようになり、2021年の5月に現在のNPO法人の面接を受けた際「障がいのある人を、何で支援したいですか?」と聞かれたときに「料理が好きなので、料理を通して支援をしたいです」と言いました。
その後、普通に仕事をしていると「飲食店をやろうと思う」と突然告げられ、飲食店での勤務経験が一切無いままメインメンバーとして参画することに。
「春巻きが大好きだから、もっと春巻きを一般的な存在にしたい」「どうせやるなら珍しい店がいい」という点から、全国的にも珍しい春巻き専門店としてオープンしました。
お肉は国産にこだわり、他の食材もできる限り国産で統一。また、油は「こめ油」を使用しており、油のくどさが無く、サクサク触感でありながら軽い口触りが特徴です。
ハルマキギャラクシーはコンセプトとして「多様性」を掲げています。
「春巻きは中身を開けてみないと何が入ってるか分かりません。障がいがある方も、ただ外見を見ただけでは普通の人と差が分かりません。それになぞらえて、いろいろな春巻きがあっていいし、いろいろな人がいて良いと思うんです」と千葉さんは思いを語ります。
特徴的なハルマキギャラクシーのデザインも顔は全員同じで、髪型や服装が違うイラストとなっており、性別がどちらかがわからないようになっているなど「多様性」に対しての理解を広める活動の一環としても注目されています。
障がいのある人も社会参加できるように
ハルマキギャラクシーでは現在、7名の障がい者が働いています。
就労支援事業の一環で、施設利用者らが皮を包んだり、持ち帰り用の紙製手提げ袋を作ったり、食器洗いや清掃などの作業をして社会に参加。「できることは全部利用者さんにお願いするようにしています」と言い、店にまつわるものの多くを任せています。
例えば春巻きを包む袋のミシン目を入れたり、箸の紙袋に押してあるハルマキギャラクシーのスタンプも利用者が押したものです。
また、メニューについても障がい者のメンバーと一緒になって考案することも。「社会に参加することで、働く楽しさを感じてもらえたらと思います」と笑顔で千葉さんは語ります。
「私ハルマキギャラクシーで働いてるんだよ」と言える店に
千葉さんに「今後ハルマキギャラクシーをどうしていきたいですか」と尋ねると、2つの目標を教えてくれました。
1つは「夜の営業をしたい」ということ。春巻きをアテに立ち飲みができる場所でありながら、想像以上の人気で夜の時間までに売り切れてしまっており、いまだに夜までの営業ができていないのだとか。
そしてもう1つは「私、ハルマキギャラクシーで働いているんだよ!」と、誇りに思ってもらえるような場所にしたいということ。
「このお店は客としても、従業員としても元気をもらえる場所です。なのでもっと皆に知ってもらって、ここで働いていることが自慢になるお店にしたいです」
春巻き専門店・ハルマキギャラクシーは、今日も笑顔で溢れながら営業を続けています。