カメラを片手に、一瞬の出会いを追い求め、野鳥の写真を撮り集めるのは小学6年生の上原大史くん。鳥好きだった祖母の影響で、4年生の頃から野鳥に興味を持ち始め、野鳥を見に行ったり、写真展に行ったりしていました。そんな野鳥好きの大史くんに、野鳥の魅力について聞きました。
愛読書を片手に
「最初は、野鳥を見るだけだったけど、 写真を撮り始めたのは、6年生の夏ぐらいかな。カメラは、おばあちゃんが使っていたものをもらいました。撮るのは難しいけど、野鳥はかわいいし、楽しい」
半年でカメラにおさめた野鳥は32種類、カメラの中には約500枚の写真がありました。
野鳥が好きになってから、町内の野鳥をはじめ、隣町や近隣県にも足を運び、さまざまな野鳥の姿を写真におさめてきました。町内で撮影された野鳥が掲載さている「おかやま 奈義の野鳥」を4年生の頃から愛読書にしており、目にしたことがあるページには、チェックマークがつけられています。
「この本の半分くらいの鳥は、名前全部分かる。いつか自分も全種類の写真を撮ってみたい」と嬉しそうにページをめくる大史くん。中表紙に掲載されていた20種類ほどの野鳥の写真を指差しながら、名前をすべてすらすらと言い当てました。
大史くんの一番好きな野鳥はカワセミ。まだカメラに収めたことはないそうですが、町内の川の近くで時々見かけるそうです。
「自然が多いから、キジとかカワセミとか、町の中にも結構いろんな鳥がおるよ。今度見てみたいのは、コクガンやカンムリカイツブリかな」
一瞬しかない出会いを求めて
野鳥を写真に収めていたのは、大史くんだけでありませんでした。大史くんの影響で、母や姉もカメラで野鳥を撮るようになり、今では家族共通の趣味のひとつだそうです。
「野鳥をカメラで撮るようになってから、わたしも娘も鳥にとりつかれました(笑)」と大史くんの母。野鳥が見せる一瞬の姿を写真に収めることが魅力だそうです。
野鳥を見に行くと決めた日以外も、外出する時は常にカメラと鳥図鑑を持ち、野鳥を見かけるとすかさずカメラを向けます。取材中も、近くの池に飛んでくる野鳥に目を凝らし、カメラを向けていました。
「自然が相手だから、同じ鳥には二度と会えない。 同じ写真は1枚もないし、1回きりの出会いを大切に写真に撮っています」と、大史くんと母は口をそろえて話します。
「カモとか大きい鳥は撮りやすいけど、小さい鳥は人がいるのが分かったらすぐに逃げるし、よく動くから写真に撮るのが難しい」
動きが素早い野鳥を写真におさめるポイントは、影を潜めて遠くから撮ることだそうです。
夢は「鳥に関わる仕事」につくこと
種類も多く、それぞれ個性があるところが野鳥の魅力と話す大史くん。鳥のかわいらしい表情が好きで、自宅でもインコを飼い始めました。令和元年から飼い始めたので、名前は「れいちゃん」。「野鳥みたいにすぐ逃げたりしなくて、寄ってきてくれるところがかわいい」と目を細めます。
将来は鳥に関わる仕事につきたいという大史くんは、害虫駆除や狩りなどをする鷹匠に興味があり、昨年、鷹匠講座に申し込みをしていましたが、コロナもあり全回開催されることなく終わったといいます。
また、2月に町で開催される予定だった「一世帯一作品展」。大史くんは自分で撮影した野鳥の写真を初めて出展する予定でしたが、新型コロナウィルスの感染拡大の状況を受け、展覧会が延期となってしまいました。
しかし大史くんは、「作品展が延期になって残念だけど仕方ないかな。また、みんなに見てもらえたらうれしい」と前向きでした。今は、3月末に家に巣を作りにやってくるツバメを見るのを楽しみにしているそうです。
取材後も、空高く飛ぶ野鳥を見つけ、カメラを抱えて走っていく大史くんから、野鳥への愛が感じられました。