モロッコ人が選ぶ本物のアルガンオイル 女王の名を冠したブランドで日本へ

モロッコ人が選ぶ本物のアルガンオイル 女王の名を冠したブランドで日本へ
アルガンオイルのブランド「DIHYA(ディヒヤ)」を手にするモロッコ出身のエルカムリッチ・マハさん

北アフリカ・モロッコの南西部のみに生息するアルガンの木の種から取れる植物オイル。大量の実からわずかなオイルしかしぼることができず、さらに抽出にも手間がかかるため、とても貴重なオイルと言われています。ビタミンEがオリーブオイルの数倍も含まれており、モロッコでは、古くから、料理や美容にと幅広く使われてきました。

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そんな本場の良質なアルガンオイルを日本に届けたいと考え、「DIHYA(ディヒヤ)」というブランドを立ち上げたモロッコ出身のマハさんに、アルガンオイルへの思いを聞きました。

糸でつながっていた幼い頃からの夢

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大阪府在住で、モロッコの首都ラバト出身のエルカムリッチ・マハさん。幼い頃から、両親の影響で日本に興味をもち、「いつか日本に行きたい」という夢を持っていました。

モロッコの伝統的なテキスタイルや織物をつくっていたというマハさんの家族は、モロッコの伝統的衣装をつくる際に、日本の帯などにも使われている糸を京都から仕入れていたそうです。

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「両親が日本に出張に行って、おみやげを買ってきてくれたり、日本の写真をたくさん見せてくれたり、日本の話をたくさんしてくれました。わたしの周囲のみんなはヨーロッパやアメリカに憧れていたけれど、日本に触れるたび、いつか日本に行きたいと願うようになりました」

本物のアルガンオイルを届けたい

フランスの大学で経済を学び、大学を卒業した2012年、マハさんに日本に行くチャンスが訪れます。京都の糸の会社や東京の旅行会社で、約1年間のインターンシップに参加しました。

日本滞在中に目にした「モロッカンオイル」や「アルガンオイル」の文字。母国モロッコのオイルが1万km以上離れた日本でも広がり、多くの女性がモロッコのアルガンオイルが良いと思っていることを知り、とてもうれしい気持ちになったそうです。

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「ある日、モロッコから持ってきていたアルガンオイルがなくなり、薬局やデパートで探しました。でも、手にしたオイルはわたしにとって、どれもあまりなじみませんでした。色や匂い、つけた感じがなんか違います。これでは、日本の人たちはアルガンオイルについて間違った印象をもつかもしれない。本物のアルガンオイルを日本のみんなに使ってもらいたいと思いました」

日本での1年間のインターンシップを終えたマハさんは、フランスの大学院卒業後、モロッコに戻り、家業を手伝う職につきました。しかし、モロッコに帰ってからも、日本に本物のアルガンオイルを届けたい思いは抱いたまま。モロッコで、アルガンオイルについてリサーチを重ねていたといいます。

こうして2017年、マハさんは京都の大学でMBAを学ぶため、そして「本物のアルガンオイルを日本に届ける」という夢を叶えるために、再び日本に戻ってきたのです。

美しさと力強さをすべての人に

その後縁あって、2019年から業務用のアルガンオイルを輸入している会社への就職が決まったマハさん。モロッコで質のよい美容用アルガンオイルを作っている会社を探し出し、家族に紹介されたアルガンオイル生産メーカーとともに「DIHYA(ディヒヤ)」というブランドを立ち上げました。

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「モロッコの博士号とイタリアのオリーブオイル技術者が共同で開発した特別な技術を使って、コールドプレス製法で抽出した100%のエキストラバージンアルガンオイルです。色、香り、つけ心地、どれも最高のものだという自信があります」

ロゴデザインやブランド名にも、歴史上のモロッコの女王「ディヒヤ」を盛り込み、カリスマ性と美しさを兼ね備えた女王のような「美しさと力強さ」を多くの人に届けたいと願っています。

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日本に憧れをもちはじめてから約30年、日本に母国モロッコのアルガンオイルを届けたいと夢見て約10年、「母国モロッコのものをちゃんと理解してもらいたい、本物を届けたい」と強く願ったマハさん。幼い頃、マハさんと日本をつないだ糸が、今度はアルガンオイルを通じて日本とモロッコを強く結びつけようとしています。

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