ドーナツ屋の枠組みにとらわれないチャレンジ コロナ禍でもワクワクを

ドーナツ屋の枠組みにとらわれないチャレンジ コロナ禍でもワクワクを
ハグジードーナツを経営する松川ひろのりさんと松川ゆみさん

東京都多摩市に、週末開く古民家を改装したドーナツ屋「HUGSY DOUGHNUT」(以下、ハグジードーナツ)がある。
大学時代からの夢だった店を開いて2022年で8年目。「あそぼう」をコンセプトにしたお店にはワクワクするようなドーナツが並び、開店前に客が並ぶほどの人気ぶりだ。

ドーナツ1
ドーナツ1

普通じゃ面白くないと、テント付きのカーゴバイクでの移動販売も行い、東京蚤の市など人気のイベントにも出店してきた。

カーゴバイク
カーゴバイク

しかし、2020年から始まったのコロナウィルスの蔓延は、店としても自分達も変化せざるを得なかったという。
コロナ禍で様々な取り組みにチャレンジする店主の松川ひろのりさん。その原動力について話を聞いた。

コロナ禍で実現した本の出版

ドーナツ本
ドーナツ本

週末の店とイベント出店をメインに活動してきた中で、やってきたコロナウイルス。

「僕たちはお店のほかに、イベントで出店することも主軸としてやっていたので影響は大きかったですね。軒並みイベントが中止や延期になっていた時、フリーランスで編集の仕事をしている友達から新しいことをやってみようと提案されました。そこから、前から作りたいと思っていたお店の本を作るという話が動き出したんです」

1年間の制作期間を経て、2021年11月「Where is My Doughnut?」が出版された。
訪れた場所や人との繋がりで生まれた自分達の作品であるドーナツのカタログと、7年間のハグジードーナツの歴史や思いをショートエッセイやコミックで詰め込んだと言う。
ひとつひとつのドーナツは、ハグジードーナツに関わってくれた人たちが実際にモデルとなり、その時のストーリーが綴られている。遊び心がいっぱいで、温かい気持ちになれる本だ。

チャレンジすることで生まれたつながり

ドーナツ2
ドーナツ2

コロナ禍を経験し、今まで通りにはもう戻らないなと感じた松川さんは、変化するためにさまざまなチャレンジをしてきた。

「お店に来る遠方からのお客さんも少なくなり、お店に来て頂いたとしても制限のある中で100%楽しめない状況が続いていたので、お客さんがワクワクするような新しいエンターテイメントを作っていかないとダメだなと思っていました」

本の出版と同じ時期には、ギフト商品としてキャラメル缶も新たに発売した。

「ハグジードーナツは化学調味料などが不使用なので日持ちせず、全国配送が難しいんです。なので、ドーナツの形のキャラメルを入れたオリジナルのお菓子缶を作りました」

キャラメル缶
キャラメル缶

また、絵を描くことが好きで以前は個展も開いていた松川さんは、YouTubeでアニメの配信も始める。友人のミュージシャンと一緒に、「ドーナツといっしょ」というミュージックビデオも制作した。

「いろいろなチャレンジをしていく中で戦略はあまり立てないんです。けれど、自分達のやる事を面白がってくれる人たちと繋がりができて、また新たな形ができていく。それが面白いですね」

こんな時だからこそユーモアで乗り切りたい

松川ひろのりさん
松川ひろのりさん

2022年の夏には、安心して楽しめる場所を提供できるように店の改装も予定している。
「2021年は本やキャラメル缶など新しいものをいろいろ作ってきたので、今年はそれを持って全国のカフェや本屋さんでドーナツと一緒にイベントをして行きたいなと思っています。コロナの状況次第ではありますが、僕たちがドーナツ屋をやるきっかけとなったアメリカにも本を持って行きたいと思っていて、作戦は練っています」

ハグジードーナツのコンセプト「あそぼう」を体現するように面白いことを形にしていく松川さんは、最後にこう語った。
「コロナになって失ったものもいっぱいありますけど、できるようになったことも沢山あって。人間なので、ユーモアで乗り切りたいと思いながらここまでやってきました。新しいものにチャレンジする姿勢は忘れずに続けて行きたいですね」

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