バイオリン日本一に輝いた岡山の小学生、今は高2に 名門・芸高で腕を磨く

バイオリン日本一に輝いた岡山の小学生、今は高2に 名門・芸高で腕を磨く
東京芸術大学音楽学部附属音楽高校2年(岡山市出身)の青山暖さん

岡山市出身のバイオリニスト・青山暖(のん)さん。小学生のときに全日本学生音楽コンクールで優勝し、中学生では海外で国際コンクールにも挑戦。現在は、東京芸術大学音楽学部附属音楽高校の2年生で、プロを目指し、単身・東京でその腕を磨き続けています。

今回は1月10日、高校生になって初めて、地元・岡山でのソロリサイタルに臨む青山さんにインタビュー。東京での経験やこれまでの挑戦、今後の目標について尋ねました。

大舞台で実績を積む

4歳のとき、兄の影響でバイオリンを始め、倉敷ジュニアフィルハーモニーオーケストラに入団した青山さん。ピアノ教師の母のサポートを受けながら自己研鑽にも励み、強みである高い演奏技術を身に着けていきます。

そして小学6年生のとき、全日本学生音楽コンクールの全国大会に2年連続で出場し、バイオリン部門小学校の部で悲願の優勝。将来を期待されるバイオリニストの1人に、その名を連ねました。KSB瀬戸内海放送は、当時の様子をニュース番組で紹介しています。

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手応えを感じた青山さんは、中学生になって海外にも挑戦。中学1年生のときにはドイツのクロスターシェーンタール国際バイオリンコンクールで2位、中学2年生のときにはメニューイン国際コンクール(スイス開催)でセミファイナリストに選ばれるなどして刺激を受け、「将来は海外を舞台に活躍したい」という思いを強くします。

☆トリミン…511_n
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そして更なる高みを目指すため、高校生にして地元・岡山を離れ、東京芸術大学音楽学部附属音楽高校(以下、芸高)の門を叩いたのです。

ハイレベルな環境で表現力に磨き

芸高は、国内で唯一の国立音楽高校で、1学年の定員は40人。入学は設置元の東京芸術大学(以下、芸大)よりも難関とされ、国内最高レベルの生徒たちが集まっています。芸大の講師から直接指導を受けることができるほか、アカンサスコンサートと呼ばれる生徒主催のコンサート等も充実しており、芸大へのエスカレーター(推薦)こそ一切ないものの、合格レベルにまで成長できる環境が整えられています。

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ただし、その環境は過酷です。「音楽を理由に勉強をおろそかにしてはいけない」という学校の方針で、通常科目の免除はありません。その上で音楽の授業やレッスンをこなしているほか、オーケストラでの曲や組んでいる仲間との曲、自身のリサイタルの曲など、それぞれの本番に向けて、常時10曲程度を同時に練習しているため、ほとんど休日はないと言います。

たまの休みも、朝ゆっくり寝たり、部屋の片づけをしたりする程度で、残りの時間は練習漬け。コロナ禍ということもあり、遊びに出かけたのは東京に出てきて1~2回程度だそう。

しかしそれでも、同じ志を持つ仲間たちと音楽の話題で盛り上がれること、さまざまな知識を吸収できること、アンサンブルができることなど、学びは大きいと青山さんは話します。

また、作曲者や曲が生まれた時代背景を研究し、深めた理解を演奏に反映することが徐々にできるようになってきたことで、楽譜の再現や講師の教えを実直にこなしていた中学生までとは、表現力にも違いを実感しているそうです。

一方、音楽以外の成長について聞くと、1人暮らしを始めて「人見知りが少し減り、(中学生の頃より)しゃべれるようになったこと」だと教えてくれる、まだまだ高校生の一面も見せてくれました。

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久しぶりの地元でのリサイタル

1月10日のソロリサイタルは、小学校低学年のときにジュニアフィルで演奏した思い出の地、倉敷芸文館。もちろん、1人で舞台に立つのは初めてです。岡山でのリサイタルは、中学3年生の時以来。青山さんは、東京に出て成長した姿を、地元のたくさんの人たちに見てほしいと話します。

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「自分には(会場が)大きすぎるような気がするんですけど、聴きに来てくださる方に向けて、自分の最大を出せたらいいなと思っています」

当日は、チャイコフスキーの「ワルツ スケルツォ Op.34」など全5曲を演奏予定です。

若手登竜門での優勝、そして世界へ

最後に、青山さんに2022年の目標を尋ねました。

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最大の目標は、日本音楽コンクールでの優勝。国内最高峰の権威あるコンクールで、若手音楽家の登竜門とされています。バイオリンの部門では29歳以下が出場し、年上の演奏者ともしのぎを削る中、青山さんは2021年、高校生にして4人のファイナリストまで残りました。しかしあと一歩及ばず、入賞を逃したのです。

実は青山さん、小学校の時の全日本学生音楽コンクールでも、5年生でファイナリストに残りながら入賞を逃し、翌年、6年生での再チャレンジで優勝していたのです。「あの時と全く同じだ」と運命のようなものを感じながら、今年はリベンジを狙います。

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また、秋に行われる芸高の定期演奏会ではコンサートマスターに選ばれており、「務めを果たせるよう、頑張りたい」と話してくれました。

高校卒業後の進路は未定。海外への挑戦も視野に、検討を進めているということです。岡山の至宝は、小さい頃からの夢を今も持ち続けながら、着実にプロへの階段を上っています。

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