英語で学ぶプログラミング教室、ロボットにVRも 米出身講師が倉敷で運営

英語で学ぶプログラミング教室、ロボットにVRも 米出身講師が倉敷で運営
英語でプログラミングが学べる教室を立ち上げたアメリカ出身のウィン・カーンさん

岡山県倉敷市藤戸町天城の古い町並みや古民家が残る通りに、旧郵便局をリノベーションした教室があります。ここで2021年3月から、英語でプログラミングを学ぶ教室「AMAKIラボ」を運営しているのは、アメリカ出身のウィン・カーンさん。カーンさんに、教室の様子や、子どもたちに身に着けさせたい力について話を聞きました。

カーンさん
カーンさん

もっとクリエイティブに

アメリカの大学でコンピューターサイエンスを学んだ後、システムエンジニアとして働いていたカーンさん。「何か新しいことに挑戦したい!アメリカとは違う文化に触れてみたい」と考え、システムエンジニアを退職後、2010年に来日しました。約5年間、関東の中学校でALT(英語指導助手)として働いた後、縁あって2015年からは倉敷市のALTとして学校現場に携わっていました。

もともと、子どもが好きだったというカーンさん。来日後、小学校、中学校、大学でALTとして働きながら、アメリカと日本の教育の違いに疑問をもつようになります。

「もっとクリエイティブな授業にしてはどうか。そうすることでもっと子どもたちは生き生きするのではないだろうか」

約10年間、日本の教育に関わってきて、子どもたちがもっと自由に、クリエイティブになれる場所をつくりたいと考えるようになりました。

カーンさん
カーンさん

21世紀に必要とされる5つの力

AMAKIラボが大切にしているのは、英語力やプログラミングスキルに加え、21世紀に必要とされる5つの力です。これからの子どもたちが生きていく10年、20年先の社会はどうなっているか分かりません。それでも、「問題解決能力」「創造力」「論理的思考力」「自立心」「ポジティブな心」を身に着けることによって、どんな社会でも生きていけるとカーンさんは考えています。

カーンさん
カーンさん

2020年4月から学習指導要領では、小学校3年生と4年生は「外国語活動」として、5年生と6年生は「外国語」という教科として英語が採用されています。また、情報活用能力の育成や教科学習の補助として「プログラミング」が必須化されました。

AMAKIラボはでは、プログラミングだけでなく、ロボット、タブレット、VR(バーチャルリアリティ:仮想現実)など幅広くテクノロジーについて学ぶことができます。そして、それらを本場の英語で学ぶことができるというところがポイントです。プログラミングやコンピューターに関わる言語は本来すべて英語であることを考えると、プログラミングを英語で学ぶというのは効率的といえるかもしれません。

ロボットづ…
ロボットづ…

目を輝かせながらパソコンに向かう子どもたち

教室が開かれているある日の夕方、AMAKIラボでは小学3年生~5年生の4人がパソコンに向かっていました。「Please look at the front」「OK. Let’s try!」などの英語での指示に耳を傾けながら、パソコン画面を見つめる視線は真剣そのもの。

カーンさん
カーンさん

「backgroundはどんな意味?」「set — mapはどういうこと?」「moveは何?」「move northだったら?」カーンさんは自身が作成したオリジナルプリントをもとに、英語と日本語を織り交ぜながら、授業をすすめていきます。

カーンさん
カーンさん

教室の通う子どもたちは「英語だけではなく、いろいろ学べるから楽しい。習い事の中で一番好き。この教室は楽しくさせてくれるところ」「自分でできるし、自分で考える時間がたくさんある。自由があるから他の習い事より好き」と話してくれました。

好奇心を学びの力に

「ぼくは、中学生の時にパソコンに興味をもった。それから、好奇心が生まれて、新しいことでも自分でどんどん調べて、自分でなんでもやろうとした。失敗してもいいから、答えは自分で探す。とりあえずやってみたら、きっとみんなが助けてくれる」と話すカーンさん。子どもたちの好奇心を学びの力に変えてくれる場所がそこにありました。

カーンさん
カーンさん

AMAKIラボを始めて、もうすぐ1年を迎えようとしています。コロナ禍に開校したこともあり、思うようには活動ができていないと話すカーンさんですが、教室に通う子どもたちの表情や視線からは「知りたい」「やってみたい」「できるようになりたい」が伝わってきます。今後は、地域の人を呼んでVR体験をしてもらうなどしながら、テクノロジーを使った教室が地域に根付くまでやっていきたいそうです。

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この1月には、テクノロジーをよりたくさんの子どもたちに楽しんでもらうため、VR、ロボットづくり、eスポーツが体験できるテクノロジーキャンプが開講されます。

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