1歳の子どもを持つママ精神科医、宮川紫乃さん。SNSで見栄えのする子育て模様を公開するママたちが多い中、宮川さんはもっと肩の力を抜いてもいいのではないかといいます。そんな宮川さんの提唱する『ゆる育児』について話を聞きました。
精神科医が勧める「ゆる育児」
「子育てはロングランだからこそ、親が無理をしないことが重要だと思います」と語る宮川さん。多くのママたちに、肩の力を抜いて、楽しみながらゆるく育児をする『ゆる育児』を勧めています。
「親は可愛い子どものためにできるだけの事はしてあげたいと、完璧を求めてしまいがちです。しかし、そこで肉体的にも精神的にも疲れてしまい、家庭から笑顔が消えてしまっては元も子もありません」
日々の診察の中でも、頑張り過ぎて疲れてしまったり、気分が落ち込んでしまったり、不安になったり、眠れなくなったりと、体調を崩すママたちが多いことを実感しているそう。
また、どのような症状がでたら受診すべきなのか、そもそも育児疲れで受診していいものなのかわからないママもいるようです(※)。受診したくても子どもを預けられないといった声も多いのだとか。
※「不眠、不安、抑うつ、食欲低下などの症状が2週間以上続く場合は一度受診していただいてもいいかもしれません」(宮川さん)
積極的にレトルトに頼って
実際に宮川さん自身も、子育てに疲れた時期があったといいます。
特に追い詰められたのは離乳食。茹でて、ミキサーにかけて、裏ごしして……と、とにかく工程が多く手間がかかりました。さらにこのとき宮川さんは仕事に復帰したばかり。環境の変化に追いつくだけで精一杯でした。
「大変な中やってみて、離乳食作りはあまり楽しくはないなぁと思い(笑)、レトルトを使い始めました。それからは、朝はレトルトにお世話になり、昼は保育園の給食、夜だけ手作りにしています」
最近は、Instagramなどで投稿される、キレイで栄養バランスのいい離乳食を見て、私はできていない……と落ち込むママも多いと聞きます。
「手作りも素晴らしいですが、離乳食初期から完了期まで1年間、毎日栄養バランスを考えて作ろうとするとつらいものがあります。その点レトルトは、プロによって栄養価も考えられているので安心です。離乳食作りに疲れてしまったときは、積極的にレトルトに頼って心の健康を保っていただけたらと思います」
『まぁいいか』の精神で
いかにストレスを感じずに楽しく過ごすかをモットーに生きている、という宮川さん。
「まずは自分自身が心の余裕を保てるように『まぁいいか』の精神を大事にしています」
生活の中のちょっとした負担を減らすため、乾燥機付き洗濯機などの家電に頼ったり、外食やテイクアウトを利用したりしているとのこと。また、夫と役割分担をして、月に2~3回はベビーフリー時間を設けて、リフレッシュしているそう。
「子どもを預けられないママでも、散歩したり、お風呂に入ったり、ハーブティーを飲むなど、気分転換できるような方法をいくつか持っておくと楽になります」
また、ママ友とは自分が心地良いと思う適度な距離感を保つ、というのも大事なポイントです。
「正解がないからこそ難しい育児。私もまだまだ母として未熟なため、日々試行錯誤しながら奔走しています。可愛いお子さんをゆっくり大切に育てていくために、ちょっと疲れたなと思ったら、ぜひ『ゆる育児』で少し楽をしてみてください」
宮川さんは、1人でも多くのママたちが「すべては子どものため」という圧力から解放されることを願っています。