和歌山県紀の川市に暮らす谷本有佑さんは、4歳でゴルフを始め、ゴルフ歴20年。まだ選手としても挑戦を続けられる年齢にも関わらず、一般の人をメインターゲットに、ゴルフの指導者として歩む決断をしました。次期のティーチングプロ(TCP)取得に臨む予定です。24歳という若さで、なぜ「指導者」なのか。その理由に迫りました。
20代のゴルフ指導者「だからこそ」を見つけた
ゴルフは年齢を重ねても楽しめるスポーツ。80代女性が20代男性に勝てるといわれるほど、深みがあります。「ゴルフの指導者として活躍するのは、一般的に50代~70代が多いんです」と、谷本さんは教えてくれました。50代以上の指導者が多い中で、”熟練感がない”と見られることは、怖くなかったのでしょうか。
「意外に若い世代にこそゴルフの需要はあります」と、谷本さん。上司や取引先との付き合いなど、指導を必要としている人は20~30代が多く、若い年代の人は、年が離れた指導者が来ると気後れしてしまうそう。確かに、自分の年齢に近い人から教えを受けることができれば、何でも気軽に聞いてみたくなります。
また、若い人が指導者として来ると、嬉しいと言う年配の人もいます。経験さえあれば、年齢は関係ない。むしろ、若さがあるからこそ、助かる人がいることに気が付いたのです。
「兄ちゃん」と呼ばれないために
そうは言っても、やはり24歳。レッスン生は谷本さんより年齢が上の方も多く、ストレートにいけば、ナメられてしまう。言葉には出さなくとも「兄ちゃん大丈夫か?」という表情を浮かべる人もいたそう。そこで谷本さんは、年齢が関係なく「指導者」と感じてもらえるよう、いくつもの工夫を施しています。
初めてレッスンする人には、目標や理想をヒアリング。スコアで100を切りたい、飛距離を出したい、右から左に曲がる球を打ちたいなど、そもそも、性別や年齢・状況により、求めるゴールが違うからです。会社の人と一緒にラウンドしても迷惑をかけないことが目的の人には、マナーやエチケットを教えることも。
レッスン生が客観的に自分自身のプレーを確認できるよう、アプリも利用しています。スイング中にどのような状態になっているのか、レッスン前・レッスン後でどう変化しているのか。スイングをレッスン生と一緒になり確認することで、満足感を生み出しています。
谷本さん自身、身長171cmと、決してゴルフに恵まれた体型ではありません。それでも20年ゴルフを続け、全日本ゴルフトーナメント団体優勝・個人3位の経験があります。100の力を、いかに効率よく100に近い形で伝えるか。どうやって飛距離を出すか。現状と、「なぜそうなるのか」をメカニズムを含めて一緒に説明します。積み重ねてきた実績があるからこそ、相手が”動く”レッスンを行うことができています。
20年のゴルフ人生が、人に与えることに繋がった
4歳からゴルフを始め、20年。長くゴルフを続けていると、友人やその友人に「ゴルフを教えて欲しい」と頼まれる機会が増えてきたという谷本さん。そうして教えていると、だんだん良い球を打つようになり、満足した表情を浮かべるようになるそうです。
友人が過去最高の自分自身と出会えたときの笑顔が忘れられず、指導者を目指すきっかけに。教えた相手も、自分自身も満たされる仕事をしたいと思ったそうです。
「一歩踏み出すまでは、すごく不安だった」と、谷本さん。知人など繋がりのない人で、全くの他人に初めて教えたときは、とても緊張したそうです。しかし、指導を重ねる度、その都度レッスンを振り返り、教える順序などを見直してきました。そしてこの1月『ゴルフレッスン 零』を開業します。
「人さまからお金をもらってスタートするので、そのときにできる完璧な状態で教えたい」
その言葉には、指導者として歩んでいく、覚悟が見えました。