SNSで見つけた“映え”ているメニューの裏側を、オーナーや担当者に取材するシリーズ企画「編集部、SNS映えメニューを追う!」。今回は、香川県丸亀市にある1917年創業の老舗和菓子店で販売されている「ハロウィン流し合わせ」を紹介します。
「御菓子司 寳月堂(ほうげつどう)」は、2017年に創業100年を迎えた由緒ある老舗の和菓子店。手作り和菓子教室を開催したり、InstagramなどSNSに季節を感じる美しい和菓子の写真を載せて提案するなどお菓子を通じた人と人のつながりづくりにとても積極的な店です。
インタビューに応じてくれたのは、商品開発や和菓子教室を担当する取締役の桑田桃子さんです。
―このメニューが誕生した経緯を教えてください。
秋の季節では、紅葉(もみじ)などが和菓子の定番柄ですが、「10月だからハロウィンをテーマにしてみよう」と、2020年に商品を作りました。それがTwitterなどで大変好評をいただき、そのまま季節限定の定番商品となりました。
―「ハロウィン流し合わせ」はどんな商品ですか?
「流し合わせ」という和菓子は、出来上がったときの裏側の素材から固めて作ります。一つの型で50個出来上がるのですが、出来上がった層の奥行きや、どこを切り取ってもハロウィンのカボチャやコウモリの柄が出るように考えます。
とても技術的に難しい和菓子です。錦玉(寒天)が固まらないうちに次の層を流すと混ざり合って崩れたり、季節によっても固まる時間が違うなど、時間との勝負で職人の感覚が命です。
―この商品のこだわりポイントを教えてください。
和菓子らしさを出すために色合いに特に気を使っています。2020年はハロウィンらしさを前面に出したので、2021年はもう少し色合いを抑えて「和」の雰囲気を生かすようにしました。
その他、出来上がった商品のハロウィン柄の見え方や、レモン風味をつけることで、見た目も味も楽しめるよう工夫しました。
―おすすめの食べ方はありますか?
和菓子というと日本茶のイメージがありますが、日本茶、お抹茶はもちろんですが、レモン風味なので紅茶やコーヒーとも相性はとても良いです。
―きれいに写真を撮るためのコツはありますか?
光によって見え方が変わってくるので窓際に置いていただいたり、透明な中にさまざまな色のグラデーションがあって写真映えする和菓子ですので、下のお皿は透明のガラスやマットな黒にすると色が映えると思います。また、お皿の下に置く色画用紙、ランチョンマットなどをハロウィンカラーにしたりすると楽しい雰囲気になると思います。
―メニューの発想はどのように生まれますか?
例えば二十四節気や七十二候など、普段の暮らしの中では見つけにくい季節のものまで探すように常にカレンダーを見ながら商品開発をしています。他に、季節を取り入れた和菓子では春の七草を入れたおはぎなど、地元のお客様から好評をいただいています。
アイデアは桑田さんメインですが、SNS更新などは他のスタッフも担当するので、様々な意見を取り入れながらさらに工夫を凝らしているとのことです。
―お客さんへのメッセージをお願いします。
和菓子という存在を通して、季節の移り変わりを身近に感じていただけたらと思います。季節限定商品など数が限られているものもあるので、丸亀までお越しの際はぜひ店舗でお気に入りの商品を見つけていただけたらと思います。
この「ハロウィン流し合わせ」は、10月31日まで販売されています。見た目にも楽しい和菓子で“ハロウィン気分”を味わってみてはいかがでしょうか。