今夏開催された東京オリンピック・パラリンピック。新種目の1つだった、スケートボードでの日本選手の活躍が印象に残っている方も多いのではないでしょうか。スケボー人口増加のニュースも見る機会も増えました。
そのような中、香川県高松市のスケボーの室内練習場「PALZASPOT」が滑走場所を大幅に広げ、9月末にリニューアルオープン。それに伴い、スケボーのスクールも開講しています。
オリンピック後の盛り上がり
元々、ここでオープンする時に施設を拡充することは予定していたとのこと。「スケボーを始めた子どもから大人までが一緒にすべることが出来る場所」を大事にしたいと森田さんは話します。スケボーは人数が増えるとケガの危険があります。リニューアルしたことで、スクール生と自由に滑るお客さんを分けることが可能になりました。
また、室内にランプとフラット(※)の練習場があるのは、高松市ではここだけです。フラットはリニューアルで増設をしました。
(※)ランプ:楕円形を半分に切ったような場所。スノーボードのハーフパイプに似ている。/ フラット:コンクリートで舗装された滑走場所。
森田さん自身もスケボーの盛り上がりは感じるそう。特に小学生が多くなって、リニューアル前は月に2~3人しかいなかった子どもたちの数が、リニューアル(オリンピック)後は、月に15~20人ほどに増えたそうです。
「今までのスケボーのイメージではなく、スポーツとしてスケボーを始める方も増えてきました。スケボーを知らない人へも認知されるようになり、今までスケボーは趣味や遊びの延長でしたが、オリンピックでの日本代表の活躍は子どもたちにすごく夢を与えてくれたのだと思いました」
森田さんによると、スケボーは“ストリート”が元としてあるので、かつては「悪いことがカッコいい」とか「街中ですべるのはカッコいい」という考えがあったそうです。昔はスケボーの禁止看板がなかったけれど、今はできています。自分たちの世代がスケボーが出来るところを狭めたのではないかと考えることもあるそうです。
しかし、オリンピックで日本選手が金メダルを取っているところを見て、あらためて『スケボーが出来る場所を自分たちでなくしていっちゃダメだよな』と思い、今スケボーをしている子ども達が自由にすべることが出来る環境を作りたいと考えるようになりました。
夢を持つ子どもたちにライトをあてたい
「1人1人の性格に応じてスケボーのスタイルが変わるのは面白いですね。真面目な人がジャンプしたらキレイなジャンプだったり、真面目とは真逆の性格の人がジャンプすると癖があるジャンプになったりします」
スケボーの魅力について、森田さんはこのように話します。また、服装で自分らしさを出せるのも魅力の一つだと教えてくれました。
現在、増えるスケボー人口に対して、パーク(公園)などのすべる場所は足りなくなってきているそうです。森田さんは「スケボーを良いイメージにしていけば、署名を集めて(県や市が)パークを作ってくれる日がくるかもしれない。それと共に充実した施設も増えてほしい」と考えています。
「2店舗目3店舗目は僕らがするんじゃなくて、どんどん出てくればいいなと思います。そうすれば、公園が人であふれているから『(すべってはいけない場所に)行こうぜ』ってならないと思います」
子ども達から「ゆうや君、ゆうや君」と呼ばれ、慕われている森田さん。筆者と話している途中でもひっきりなしに子ども達に話しかけられていました。
「僕は、夢を持っている子どもたちにライトをあてたいですね。僕らはそこに向けて動きたいし、動かなきゃなと思っています」
子ども達を教えるだけではなく、県全体のスケボー環境の改善を目指す森田さんの今後の取り組みにも注目です。