香川県三木町にある松本製作所は、高性能な扉をつくっている会社です。扉といっても家庭用ではなく、薬品工場や食品工場、物流倉庫などの「防熱扉」を作っています。コロナワクチンを保管する冷蔵庫や、豊洲市場の防熱扉もつくったそうです。
今回はその秘密に迫る工場の中を、松本専務に案内してもらいました。
「温度管理」と「作業性」
食品工場や薬品工場では、温度を厳密に管理する必要があります。ドアの開閉によって温度が変わってしまい品質に影響する可能性があるため、防熱扉は非常に重要な役割を担っているそうです。
また最近は、食品工場での食品衛生管理が大変厳しくなっています。
防熱扉の骨になっている部分には、もともと木材が使用されており、木の腐食による衛生問題がありましたが、松本製作所では、樹脂を使用することで、腐食による衛生問題を防ぐことができるといいます。
そして、防熱扉には「温度管理」に加え、「作業性」が求められます。
防熱扉は、客の要望を聞いて、加工方法や部材を決め、システムなどを製作する必要があるといいます。松本製作所では、それぞれの客の要望に応えるため、一つ一つ確認をして提案をするそう。
最近では、扉を開閉するときに触らなくても開けられるようにしたり、手をアルコール消毒すると扉が開くように機械を連動させたりとコロナ禍でのニーズにも対応しています。外部へ依頼すると、断られたり、時間がかかったりする場合がありますが、松本製作所は自社一貫体制で製造販売をして客の細かい要望を聞き「他社ができないこと」を実現しています。
また、防爆規格での使用条件に適合した防爆仕様の扉やパッキンや断熱材等の材質を変更し、120度に耐えられる高温扉もつくるなど、新しい事にも挑戦をしています。
環境が整っている工場
防熱扉をつくっている工場を見学し、特に印象的だったのは、とてもきれいな工場であることでした。ステンレスをカットしたり、曲げたり、組み立てたり。様々な工程場所がありますが、どの場所も整えられて状況がすぐ把握できるような環境でした。
そして面白いのが、性能実験です。カウンターがついていて、開閉が何回行われているのか目視しながらどの部材が痛んでくるのか分かるようにし、前もって客に交換時期を伝えられるようになるそうです。
「お客様第一」と考えている松本製作所。現場を見ても納得できる素晴らしい会社でした。松本専務は「雇用をつくり働きがいのある会社にすることで三木町の雇用、移住に繋げ貢献したい」と話してくれました。