令和に誕生した高校生の浮世絵 美術部員がイラスト制作ソフトで描く

令和に誕生した高校生の浮世絵 美術部員がイラスト制作ソフトで描く
岡山芳泉高校の美術部員が制作した「岡山カルチャーゾーン三十六景」の1つ

岡山市北区の林原美術館で展示中の、岡山芳泉高校美術部の連作「岡山カルチャーゾーン三十六景」。岡山県立美術館や岡山後楽園などの文化施設が集まる、岡山市中心部のカルチャーゾーンを題材として浮世絵風に描かれた、デジタル絵画です。

【写真】「岡山カルチャーゾーン三十六景」作品の一部を見る(全5枚)

浮世絵の画風に、高校生ならではのオリジナリティも盛り込んで令和に誕生した浮世絵。その制作の裏側を、元部長で3年の佐藤美月さんと、現部長で2年の國分咲良さんに取材しました。

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葛飾北斎の「富嶽三十六景」にちなんで名づけられた「岡山カルチャーゾーン三十六景」は、2018年度から2020年度の美術部員、22人が描いた38点から成ります。岡山カルチャーゾーンを散策して写真を撮り、選んだ写真をもとに、パソコンやスマホのイラスト制作ソフトを使って浮世絵風に仕上げていきました。

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佐藤さんが2019年度に制作した「舞え」は、岡山後楽園の鶴を描いた作品です。鶴を延養亭の前に配置して、「極端に遠近差をつけることで、近くのものを際立たせる」という浮世絵らしさを演出しました。

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佐藤さんの専門は現代アート作品。イラスト制作ソフトは、今回のプロジェクトのために使い方を覚えたそうです。パレット上の絵の具のイメージと、デジタルでは色味のイメージが異なるケースもあり、四苦八苦しながら制作したそうです。

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國分さんの2020年度の作品「水上鳥獣図」は、空の色使いに浮世絵の特徴を反映したほか、現代らしさも盛り込みました。無数の白い枠は、水の波紋とカメラのフレームを表現。また画中にはQRコードも隠されており、読み込むとカルチャーゾーンのHPにリンクする仕掛けになっています。

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國分さんは、パソコン環境が充実しており、デジタルツールで制作活動ができる岡山芳泉高校の美術部に魅力を感じ、入学したうちの1人。普段は主にイラストを描いていますが、さまざまな要素を組み合わせる浮世絵の画風は、表現の肥やしになったと話します。

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普段はデッサン、水彩、油彩、現代アートなど各々のジャンルで芸術に取り組んでいる美術部員たちが、それぞれの「浮世絵らしさ」と「自分らしさ」を探求した作品たち。作品と実際の風景と見比べてみるのも、面白いかもしれません。

(佐藤美月さん)
「浮世絵と言われて思い浮かぶイメージとかけ離れたものも多いので、そういう違いを見てもらったり、描かれた場所が近くにあるので、そこをぜひ巡ったりしてほしいです」

(國分咲良さん)
「自分はまだまだ岡山のことを全然知らないなと、やってみて思いました。外のことももっと知りたいけど、自分がいるところをもう1回見つめてみて、面白いところを見つけていきたいなと思いました」

「岡山カルチャーゾーン三十六景」は8月29日まで、岡山市北区の林原美術館で展示されています。8月8日には同館で「見つけた!私たちの三十六景」と題したトークイベントも開かれます。その後9月3日から、高校の隣の公民館でも約1か月展示される予定です。

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