香川県高松市にある朝陽鍼灸接骨院には、院長の山口圭介さんと共に店を支える、黒猫「あんこ院長」(オス・4歳)がいます。
患者の中には、あんこ院長に会いに来たり、プレゼントを持参したりするファンも多数います。猫用おやつを院内にキープする患者もいるほどです。
今回は朝陽鍼灸接骨院を訪問し、あんこ院長と山口さんの“ダブル院長業務”に迫りました。
黒猫・あんこ院長の勤務内容
あんこ院長の日々の業務は、「お出迎え」から始まります。
荷物置き場へ「案内」、かと思えば大好きな段ボール箱や爪とぎ場でごろり。
時には「添い寝」もします。添い寝は、患者の満足度に関わるかもしれない大事な業務です。
「あんちゃん(あんこ院長の愛称)が添い寝をする可能性が高いのは、鍼治療でうつ伏せ寝状態の時。『きょうはいっしょに寝てくれた~』という声も上がります」
添い寝業務を遂行するかは「気分によって」。猫院長の本領発揮です。猫が苦手な人のときは「別室で待機」も対応可能です。
あんこ院長との最強タッグ! 身体と心の癒しは任せて!
山口さんは、高松市で鍼灸院を営む父の元で8年間の修業後、2016年に独立。2017年、生後2か月だったあんこ院長にひとめぼれし、譲り受けました。「自分の色で仕事をしたい」と思って独立した結果、あんこ院長とのタッグが可能になり、二人三脚の日々が始まったのです。
「身体のメンテナンスは僕、心の癒しはあんこが担当」という業務分担も明確です。来訪者の緊張を解きほぐす仕事っぷりに助けられていると、山口さんは感謝しています。
また、あんこ院長の目線で綴られたSNSもユニークです。あんこ院長がのびのびと過ごしている写真と共に「患者様と遊ぶオレ」「患者様の上で寝るオレ」「スタッフを翻弄するオレ」など、ふっと頬が緩むような一言が投稿されています。山口さんは自然体のあんこ院長を追いかけ、仕込みは行っていません。
「毎日SNSを更新するのは『うちの子はかわいい』ただそれだけです」
同じ“人”として接する
「僕はあんちゃんを、同じ“人”として接していて、鍼灸院という空間に出るなら役職が必要と思い、“院長”に任命しました。すると小学生の患者様から、僕が『あんこ先生』と呼ばれるようになりました。院長は猫、先生は人。あんちゃんの方が役職が上になってしまいました」
たくさんの患者の心を癒すあんこ院長の存在に、誰よりも癒されているのは山口さん自身。「この子がいるから頑張れる」と思いながら、山口さんは日々患者と向き合っています。
「将来の夢は、治療家としてこれからも成長すること。そして、あんちゃんが穏やかだったら、それでいいです」
これまでも、これからも、共に。山口さんとあんこ院長は、きょうも患者の身体と心を癒しています。