たくさんの笑顔が描かれた看板に「みなみっこのうえん」の文字。ここは香川県にある琴平町立南幼稚園の園児と、地域住民が触れ合う、交流の畑です。早咲きのコスモスがはらはらと揺れる中、園児たちは、自然の営みをそばで感じながら、収穫する楽しみと喜びを全身で表現していました。
コスモスが園児のお土産
幼稚園から徒歩1分の場所に「みなみっこのうえん」はあります。今育っているのは、ジャガイモやトウモロコシにサツマイモ。5月に咲いて周囲を驚かせたコスモスも、梅雨空の下で、カラフルな色彩を放っています。
「2020年秋に咲いたコスモスのこぼれ種が、5月に満開になって、みんなで喜んでいたんです。きょうはコスモスが、園児のお土産になります」
そう話してくれたのは、園長の三井恵子さんです。
「あしたは、アンデスレッドという皮の赤いジャガイモを収穫する予定です。園児も水やりを手伝ってくれました。みんなで育てたものを自分たちで収穫し、持ち帰る。それがこの幼稚園の方針のひとつなんです」
農園は、地域との繋がり
三井さんが赴任してきたのは2020年春。休耕田だったこの場所を、持ち主や管理者が「ちびっこ農園にしてはどう?」と声掛けしてくれ、「みなみっこのうえん」はスタートしました。当初、農業に関しては職員全員が素人でしたが、前向きに取り組む姿勢と努力のおかげで、今ではさまざまな野菜が成長し、収穫できるまでになりました。
この農園には、南幼稚園だけに限らず、さまざまな人が関わっています。野菜の生育に「何ができよんな?」「困ったことはないかい?」と声をかけてくれる近所の人、収穫の際には手伝ってくれる小学生たち、そして園児の保護者たち。収穫の喜びと共に成長する園児たちを、職員だけでなく地域の人も見守っていて、農園は園児と地域がつながる“場”になっています。
収穫の喜びと共に成長する子どもたち
「園児は野菜を収穫する際、とても生き生きしています。トウモロコシが成長し、穂の先がほんの少し見えたのを発見した時『ここに何かできてるよ!』『他にもないかなぁ?』って、全力で喜ぶんです。子どもの発見する力というものはすごいですね。私たちもその姿に元気をもらっています」
2021年の夏も、自分たちが育てた野菜を収穫する予定。これから植えたいのは、タマネギやジャガイモなどです。南幼稚園では、園内でも発泡スチロールの容器で稲を育てていたり、プランター栽培にも挑戦しています。
「園内にある庭には、これからゴーヤのトンネルやテントを作る予定です。採れた野菜で、夏野菜カレーを作ったりして、みんなで食べたいですね」
自然の営み、収穫する喜び、分かち合う楽しさ。そこには子どもたちの成長があり、見守る大人たちの微笑みがありました。